2001 Fiscal Year Annual Research Report
郊外戸建て住宅地における地域住環境の共同管理手法に関する研究
Project/Area Number |
13750585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 建 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助手 (60325545)
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Keywords | 戸建て住宅地 / 住環境 / 共同管理 / 街並み / HOA |
Research Abstract |
本研究では,日本においてこれまで開発されてきた郊外戸建て住宅地を対象に,その変容プロセスの分析を通して地域住環境の秩序形成のポテンシャルと限界を明らかにするとともに,アメリカの戸建て住宅地のHOAにおいてすでに確立されている共同管理の仕組みを参照しながら,日本型の共同管理手法の可能性について検討することを目的としている。 本年度は,1990年代に街並みという視点から集住体としての住環境がデザインされた戸建て住宅地2地区を対象に,その住環境の変容プロセス,及びそこで行われた居住者による住環境の共同管理の実態について明らかにした。その結果,これらの住宅地のうち一方では,開発当初に形成された街並みを残すため,建築協定等のルールを厳格に運用するとともに新たなルールを付加することにより,居住者全員の住空間への働きかけ行為を規制する「街並み維持型」の共同管理が,もう一方では,ガーデニングという形での居住者の個別の働きかけをむしろ推奨し,ボランティア組織による会報等のメディアを使ってそのアドバイスを与えることにより,変容を許容しつつもその方向性を共有するような「街並み誘導型」の共同管理が行われていることが明らかとなった。 これら2つの共同管理のタイプは,今後に問題化すると思われる日本の戸建て住宅地ストックのマネジメントを考える上で,重要な示唆を与えてくれる。しかし,2地区いずれもキーパーソンとなる人物の存在が大きく,他の戸建て住宅地に広く適用できる共同管理手法とは成りえていない。 そこで,次年度は,アメリカの戸建て住宅地においてシステムとして定着しているHOAによる共同管理手法について分析を行う。さらに,以上の考察をもとに,日本の戸建て住宅地における地域住環境の共同管理手法の構築に向けたモデルスタディを行う。
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