2001 Fiscal Year Annual Research Report
地方中核都市における公共施設を中心とした環境構成に関する研究
Project/Area Number |
13750598
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
小川 次郎 日本工業大学, 工学部, 助教授 (00302951)
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Keywords | 地方都市 / 構成環境 / 水堀 / 公共施設 / 緑地 / 平面形状 / 配置 / 類型 |
Research Abstract |
今年度は、分析資料(対象地)の選定と、具体的な分析項目の設定を目標として研究を進めた。まず、地方中核都市における環境構成を検討するに当たり、現況において掘割や小山などの自然に関する要素や、公共施設等の人工的な要素の混成により実体的な環境が構成されている都市空間を分析対象として特定する必要がある。そこで、旧城下町で、実体的な環境構成に大きな影響をもつ水堀が現存し、かつ堀周辺の市街地化が進んだ都市を対象に分析資料の選定を行った。その結果、東北・北陸地方12、関東地方5、近畿地方12、中国地方3、四国地方2、九州地方8の計42の地方都市の中心部を対象地として選定すると共に、これらの中で14箇所において現地調査を行った。次に、現地調査の結果を踏まえ、各資料に対する検討項目の設定を検討した。その結果、水堀の平面形状、緑地の形状及び配置、さらに庁舎や文化施設等の公共施設の配置の各項目を、地方都市の中心部における環境構成に大きな影響をもつ水準として整理することができた。これらの項目について全資料を検討した結果、対象地における構成環境において、水堀のロの字型の平面形状は比較的明確に残存すること、堀の内側に緑地帯がまとまって取られる場合が多いこと、さらに公共施設の配置は堀の内側に集中する場合と外側に分散する場合に大方二分されること等の傾向が明らかになった。また、現時点で調査した資料の範囲に限定されるものではあるが、比較的幅の広い堀か、あるいは部分的に現存する堀をもち、かつその内外に施設が分散配置された構成に資料が集中する傾向を指摘できた。これらの構成的傾向の一致する資料のうちで、頻度数の特に高いものは、類型として抽出することが可能であると考えられる。来年度以降は、こうした事例研究の成果を踏まえ、地方都市の中心部における環境構成の新たなあり方を、建築設計のプロジェクトとして展開したい。
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