2001 Fiscal Year Annual Research Report
ナノインデンテーション挙動のダイナミック解析によるセラミック表面の弾塑性変形評価
Project/Area Number |
13750622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 講師 (40231807)
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Keywords | ナノインデンテーション / 硬さ / 弾性率 / セラミックス |
Research Abstract |
高精度ナノインデンターの開発インデンテーションにおける圧子の押込み深さは圧子と試料表面の相対変位で定量化することが測定精度を向上する上でも,再現性を確保する上でも、肝要である.レーザーを用いる方法は変位測定が高精度にできるばかりでなく,非接触であり,圧子周囲の限られた空間に配することができるという利点がある.本研究ではレーザー変位測定システムと静電容量変位測定システムを組合わせて圧子周囲に配置した新しいナノインデンターを開発し,押込み変位測定の本質的な高精度化を実現した.この装置を用い,一連の炭素・黒鉛材料(フラン樹脂炭素,高配向性熱分解黒鉛,ポリイミド炭素)に対してナノインデンテーションを行い,黒鉛化挙動と力学的特性(硬さや弾性率)の関連を研究した.その結果,フラン樹脂炭素では2000C°を超える高温での熱処理によって黒鉛結晶で構成されるセル構造が発達し,弾性率が低下するとともに硬さも低下することがわかった.さらに,フラン樹脂炭素の塑性変形が不可逆的なものから可逆的なものに変化することを明らかにした.高配向性熱分解黒鉛のインデンテーション挙動は不連続的であり,比較的大きなヒステリシスを描いた.これは黒鉛層面間のすべりもしくは黒鉛結晶内の双晶内の双晶変形に起因することが示唆された.ポリイミド炭素のインデンテーション挙動は熱処理によってフラン樹脂炭素のような挙動(比較的硬さと弾性率が大きい)から高配向性熱分解黒鉛のようなもの(硬さと弾性率が小さい)に変化することが明らかになった.これはポリイミド炭素内の黒鉛結晶の発達と配向によるものと考えられる.
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