2001 Fiscal Year Annual Research Report
オフーストイキオメトリック組成の複合マンガン酸化物セラミックスにおける磁気伝導
Project/Area Number |
13750632
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹本 稔 神奈川工科大学, 工学部, 助手 (70288215)
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Keywords | 複合マンガン酸化物 / セラミックス / 磁気抵抗 / 非化学量論組成 / 粒界 |
Research Abstract |
ペロブスカイトのAサイトを意識的に欠損させた調合組成、(La_<0.6>Sr_<0.4>)_<1+x>MnO_3(-0.10【less than or equal】x【less than or equal】0)のセラミックスを固相反応法により作製し、組織や磁気伝導特性などの変化を調べた。 実験により次を見出した。(1)調合組成x=0.0ではLa_2O_3が、-0.10【less than or equal】x【less than or equal】-0.02ではMn_3O_4が不純物として生成し、xの減少によりMn_3O_4の生成量が増加する。(2)格子定数はx=0.0から-0.02にかけて減少するが、それ以上xが減少しても変化しない。(3)粒径はx=0.00で約3μm、x=-0.02で約14μmと大きくなり、さらにxが減少すると単調に粒径は減少し、x=-0.10では約4μmであった。(4)x=0.0と比較すると、電気抵抗率はx=-0.02、-0.06では2桁近く増加し、x=-0.08、-0.10はx=0.0と同程度であった。(5)x=0.0、-0.08及び-0.10では強磁性転移温度付近で負の磁気抵抗は極大を示したが、x=-0.02、-0.06では極大を示さなかった。 以上の実験結果は次のように解釈できる。まず本研究で作製した試料において調合組成と実際の組成とにずれがあり、xが0.0から-0.02の間で理想組成(La_<0.6>Sr_<0.4>)MnO_3の生成が予想される。またAサイト欠損量は極僅かで、xにより変化しない。また、生成したペロブスカイトの化学組成は-0.10【less than or equal】x【less than or equal】-0.02で変化していないと予想され、電気伝導性の無いMn_3O_4の生成量がxの減少に伴い増加していることから、電気抵抗率の調合組成変化は粒界の影響であると推測される。粒径が大きくなると高抵抗化し、磁気抵抗に極大が見られなくなるという傾向を予備実験で見出している。これらのことから、ペロブスカイト型複合マンガン酸化物セラミックスにおいて、微細組織と磁気伝導特性とに関係があることが明らかとなった。
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