2002 Fiscal Year Annual Research Report
歪み人工格子によるCr_2O_3の電気磁気効果増大とその磁気ヘッドへの応用
Project/Area Number |
13750635
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
西川 博昭 近畿大学, 生物理工学部, 助手 (50309267)
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Keywords | 超交換相互作用 / ペロブスカイト型Cr酸化物 / 誘電率異常 / イオン分極 |
Research Abstract |
本年度は、磁性体における磁気相転移が誘電率に及ぼす影響を調べる目的で、ペロブスカイト型Cr酸化物に注目し、磁性と誘電性の温度依存性を調べた。 使用したLaCrO_3は反強磁性体であり、ネール点(T_N)は280Kである。これをレーザアブレーション法によってNbドープSrTiO_3(100)単結晶基板上へ成長させたところ、(100)配向した高品質なエピタキシャル薄膜が得られた。SQUID磁束計を用いて磁気特性を調べたところ、T_N=270Kと、良質な試料が得られていることが分かった。この試料について、インピーダンスアナライザを用いて誘電率の温度依存性を調べたところ、T_N以上でほぼ一定であった誘電率がそれ以下では約10分の1と、顕著な減少を示すことが明らかになった。磁気相転移付近での構造相転移は報告されていないことから、磁気相転移(常磁性⇔反強磁性)によって、誘電率が大きな影響を受けることがわかる。誘電率の測定周波数(10kHzから、取り扱っている誘電現象は主としてイオン分極によるものであり、磁気相転移という、スピン間の多体的秩序配列の様な極めてエネルギースケールの小さい相互作用が(数十meV以下)、結晶格子の配列(数百meV)という比較的大きなエネルギースケールの相互作用に対して影響を及ぼすという、興味深い結果といえる。
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