2002 Fiscal Year Annual Research Report
パーコレーション過程を考慮した複合材料の機能性とその普遍性
Project/Area Number |
13750637
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐原 亮二 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30323075)
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Keywords | パーコレーション / 格子振動エネルギー / 計算状態図 / 繰り込み / ポテンシャルの繰り込み / マルテンサイト変態 / 普遍性 |
Research Abstract |
より現実的なパーコレーションモデルの構築のために、格子振動エネルギー、構成元素の組成依存性を、各々シミュレーションと実験により検討した。 本年度は、はじめに格子モデルを用いたシミュレーションを行い、変態に対する格子振動エネルギーの効果について検討を行った。本計算は、従来行われてきた極めて均質性の高いモデル計算と比較して、より現実的な系に対するパーコレーションモデルを構築するために必要不可欠な検証である。そのため、これまでの一連の研究で開発した「ポテンシャル繰り込み法」により、有限温度における格子振動の自由エネルギーを考慮した計算状態図作製を行った。計算状態図のプロトタイプとしても知られているCu-Au系について、科学量論組成からはずれた組成範囲についても相変態温度を評価を行った。その結果、ポテンシャル繰り込みを行わない場合と比較して、変態温度が高精度で実験状態図と一致することを示した。つまり、従来の手法(古典分子動力学法)と比較しても短時間のシミュレーションで、高精度の結果が得られる事を示した。現在は、これを踏まえて、TiおよびTi合金系の無拡散変態(マルテンサイト変態)についてプログラムの拡張を行っているところであるが、最終的な結果が得られるまでには至っていない。 一方、実験の立場からは、Ti-Nb、およびTi-Nb-Sn合金を取り上げ、無拡散変態の例としてマルテンサイト変態に注目し、その形態に及ぼす構成元素の組成依存性について検討を行った。添加元素であるNbについては5〜17at.%まで、Snについては0〜8at.%まで各々変化させた合金をアーク溶解炉を用いて作製した。適切な熱処理を施し圧延した試料を用いて、光学顕微鏡観察、結晶構造の同定、変態点の測定を行った。その結果、添加元素が比較的低濃度側においては、α'相、高濃度側においてはβ相を示し、その中間の濃度範囲において実用的と言われるα"相を生成する事が示された。これらの結果については、より高精度で評価する必要がある。現在はマルテンサイト変態の形態に及ぼす格子振動エネルギーの異方性について検討を行っている。
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