2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
手束 展規 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40323076)
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Keywords | スピントンネル素子 / ホイスラー合金 / Co_2MnGe薄膜 / スピン分極率 / イオンビームスパッタ / 熱処理 |
Research Abstract |
高性能なスピントンネル素子の開発を目指して,大きなスピン分極率を持つホイスラー合金薄膜の作製を目的として実験を行った.イオンビームスパッタ装置を用いて,Co_2MnGe薄膜をCrバッファー層上に作製した.組成を変化させるため,Co_2MnGeターゲット上にMnおよびGeチップを配置しスパッタした.EPMAによる組成分析の結果,チップなしで作製した場合,Co:Mn:Ge=3.9:1.0:1.3であったのに対し,Mn,Geのチップをそれぞれ10枚,7枚配置した場合,組成比が2.0:1.0:1.0の薄膜が得られた.磁化測定の結果,組成比が2.0:1.0:1.0の薄膜が一番大な飽和磁化を示すことがわかった.X線構造解析の結果,本実験で得られた薄膜は,過去にバルクで報告されていた格子定数より大きいことがわかった.また,Coの割合の増加により,薄膜の格子定数はバルク値のそれに近づくことがわかった.次に組成比が2.0:1.0:1.0の薄膜に対し,真空中,200〜600℃で熱処理を行った.X線構造解析の結果,400℃以上の熱処理で格子定数はバルク値のそれとほぼ等しくなるが,500℃以上ではMnO,CoOの析出が確認された.また,AFMによる表面構造解析の結果,500℃以上では表面粗さが増加することがわかった.磁化測定の結果,MnO,CoOの析出が確認された試料を除けば,400℃で熱処理した試料の飽和磁化が970emu/ccと一番大きく,バルク値(1002emu/cc)に近い値であった.以上の結果より,適切なスパッタ条件・熱処理条件により,Cr層をバッファーとして,飽和磁化,格子定数がバルク値に近いCo_2MnGe薄膜が得られることが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)