2002 Fiscal Year Annual Research Report
天然繊維屑複合化生分解性プラスチックの生分解による強度特性変化とそのメカニズム
Project/Area Number |
13750650
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 隆基 福井大学, 工学部, 助教授 (40242581)
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Keywords | 生分解性プラスチック / FRP / 強度 / 高分子材料 / 天然繊維 / リサイクル / 生分解 / 変形・破壊 |
Research Abstract |
繊維廃棄物の再利用と生分解性プラスチックの高強度化の試みとして,強化材としての天然繊維と熱可塑性の生分解性不織布を同時に成形機に投入することによる繊維強化複合材料の射出成形法を考案した.さらに,不織布裁断屑である生分解性プラスチック(ポリブチレンサクシネート,PBS材)を綿糸および絹繊維によって強化した複合材(PBS/CO材およびPBS/SI材)の生分解試験および静引張試験を実施し,各試験結果および試験後の微視的観察からPBS材,PBS/CO材およびPBS/SI材の生分解特性および強度特性を明らかにするとともに,生分解性プラスチックの需要および用途拡大を計るための高強度および高機能化に対する検討をおこなった. その結果,天然繊維による複合化は引張強さや剛性率を大きく増加させるが,逆に生分解性(分解速度)を著しく加速させるとともに強度も低下することが分かった.生分解速度の増加は,廃棄物の処理に対しては有効であるといえるが,生分解が使用中に同時進行するような環境下では強度的にはそれが欠点となる.生分解試験前の複合化による強度増加は,繊維含有率および母材と繊維との界面強度が高いほど期待できることがわかった.一方,強度低下の原因となる生分解速度の増加は,材料表面から進行する侵食がき裂の発生・成長を助長させるとともに,水分の浸透により生分解が試験片内部からも発生することに起因しているとことが分かった.また,それは繊維と母材との界面強度および繊維長に大きく依存することがわかった.将来的には母材と強化繊維との界面強度を制御することで,生分解性プラスチックの高強度化および高機能化が実現でき,より供用期間の長い製品を得ることが可能であると考えられ,生分解生プラスチックとその複合材の用途拡大への第一歩になると考えている.
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Research Products
(2 results)