2002 Fiscal Year Annual Research Report
電子構造計算に基づく三元系水素吸蔵合金の設計手法の確立と新合金の開発
Project/Area Number |
13750660
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
南部 智憲 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 助手 (10270274)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / ニオブ / ニオブ合金 / PCT曲線 / 電気化学 / 水素化学 / 電子構造 / イオン性 |
Research Abstract |
正八面体構造の中心に水素原子を配置したM_6Hクラスターモデルの電子構造を計算した。その結果、水素原子は周囲の金属原子から電子を受け取るサイトとなっていることが明らかとなった。この電荷移行量の度合いを表すパラメータであるイオン性を用いて既存合金の水素吸蔵特性を整理した結果、イオン性の値が約-0.2となるように化学組成を調整することによって可逆的に水素を吸蔵放出できることがわかった。さらに、LaNi_<5-x>Al_x合金の水素化物生成エンタルピーとイオン性の関係を調べた結果、イオン性とエンタルピーの値が直線の関係にあることがわかった。この結果より、電子構造計算によって求めたイオン性というパラメータは三元系水素吸蔵合金の特徴を示す一つの因子になることがわかった。 新しい合金系としてニオブ基合金に注目し、Nb-3at%MおよびNb-5at%M(M=4d遷移金属)合金の水素化特性を評価した。ジーベルツ型測定装置を用いて40℃におけるPCT曲線を測定した結果、純Nbは約0.15MPaでNbH_2を形成することがわかった。このNbH_2を形成するプラトー圧力に注目すると、Nb-5at%Zrでは約0.01MPaとプラトー圧力が著しく低下した。一方、Nb-5at%Moのプラトー圧力は約0.4MPaであり、純Nbの結果よりも増大した。Ru、Rh、Pdを添加した合金のプラトー圧力は純Nbのプラトー圧力よりもわずかに高くなるだけであった。さらに、電気化学的手法を用いて低圧において形成されるNbH化合物のPCT曲線を測定した。その結果、NbHの形成圧力は周期表上の合金元素の順番に従って系統的に変化することがわかった。例えば、Zrを5at%添加した合金のプラトー圧力は約10^<-4>Paであり、純Nb、5at%Mo、Ruと周期表の順にプラトー圧力は増大し、Ruをピークに5at%Rh、Pdの順にプラトー圧力は低下した。
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