2001 Fiscal Year Annual Research Report
配向制御したPVDハードコーティングによるトライボロジー特性の向上
Project/Area Number |
13750666
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
青木 孝史朗 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70262409)
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Keywords | TiN / スクラッチ試験 / マイクロビッカース / 残留応力 |
Research Abstract |
本研究は、アークイオンプレーティング型PVD装置を用い、結晶配向制御したハードコーティングを作製し、その配向制御したコーティングのキャラクタリゼーションおよびトライボロジー特性への影響を評価し、材料の長寿命化を図ることを目的としている。本年度は配向制御特性および被膜の密着度に大きく影響を及ぼすと考えられる被膜の残留応力の測定を試みた。 SKH59を基材として、で膜厚3μmと5μmのTiNコーティングを成膜した。また、成膜時のバイアス電圧を-50〜-200Vと変化させて、膜厚3μmのTiNを成膜した。さらに硬度の異なるSKD11、超硬を基材として、膜厚3μmのTiNコーティングを成膜した。X線回折装置を用いて生成した被膜の配向性および残留応力を測定した。被膜の密着性を評価するためにスクラッチ試験を行い、被膜が剥離する臨界荷重の測定を行った。さらに、マイクロビッカース試験機を用いて被膜硬さの測定を行った。これらの実験から以下の結果を得た。 1)TiN成膜中の基材にかかるバイアス電圧を変化させることでTiN被膜の優先配向を-20Vと-50Vにおける(200)優先配向から-100,-150,-200Vの(111)優先配向へと制御可能であることを確認した。 2)膜厚の増加に伴い、被膜の圧縮残留応力、臨界荷重、被膜硬さとも増加する傾向が見られた。また、成膜時のバイアス電圧を変化させた場合、バイアス電圧の絶対値の増加に伴い圧縮残留応力、被膜硬さは増加し、密着強度は若干増加する傾向が見られた。 3)成膜条件一定で基材を変化させた場合、被膜硬さには、ほとんど変化は見られなかったが、基材硬さが大きくなるほど、被膜の圧縮残留応力は減少し、密着強度は高くなった。
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