2001 Fiscal Year Annual Research Report
湿式プロセスによる半導体特性を利用する金属―シリコン複合材料の形成
Project/Area Number |
13750668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
HAMM Didier 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助手 (50324702)
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Keywords | 多孔質シリコン / 陽極酸化 / 表面形態 / 柱状構造 |
Research Abstract |
金属-シリコン複合表面の形成には非常に高い表面積をもつ多孔質シリコンを基板に用いることが有効である。多孔質シリコンの形態は生成条件によって多様に変化する。ここでは,シリコンの陽極酸化条件(特にフッ酸濃度)が多孔質シリコン生成におよぼす影響,および多孔質シリコン表面の溶解による種々の表面形態の生成について検討した。 p型シリコンをエタノール-フッ酸溶液中で2mA/cm^2で陽極酸化すると,フッ酸濃度に対応して多孔質シリコンの生成または均一な溶解が進行する。フッ酸濃度が22wt%のときと28wt%のときで生成する表面形態が大きく異なった。28wt%以上では多孔質層のみが生成し,低いフッ酸濃度では多孔質生成に加えて化学的な溶解が併発した。これらの過程が共存する反応は2よりやや小さい反応電子数の電子移動過程で特徴付けられる。X線光電子分光測定によると14wt%HF溶液で陽極酸化した場合、35%HF溶液の場合と比較してシリコン表面の酸素の量がフッ素よりも多かった。表面におけるこのような組成の違いが化学的な溶解の原因である可能性がある。 アルカリ水溶液に浸漬することにより多孔質シリコンのエッチングを行った結果、多孔質層は最初均一に成長し、その後骨格構造を残して柱状に成長することがわかった。アルカリ水溶液で溶解することにより多様な形態を得ることができるが、これは空孔率の高い順、つまり、まずナノ多孔質が溶解し、その後骨格構造が、そして最後にバルクシリコンが溶解するためである。ナノ多孔質が完全に溶解するとマクロポーラスなシリコンの形態になる。この時点では小さく窪んだ面が形成される。さらにアルカリ水溶液に浸漬すると、結晶面があらわれるようになる。 以上のようにして得られる多様な形態のシリコン基板を用いて,金属との複合表面を作製したときの機能性を明らかにすることが今後の課題となる。
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