2001 Fiscal Year Annual Research Report
金属溶媒を用いたシリコン薄膜の低温作製プロセスの開発
Project/Area Number |
13750685
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脇 慶子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70312999)
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Keywords | シリコン / 結晶 / 溶解析出法 / 温度勾配 / 銅 |
Research Abstract |
本研究で提案する多結晶Siの新規製造法は,一方向の温度勾配下に置かれた低コスト基板上の金属-Si溶液を,基板ごと低温側へ向けて移動させることによって,低温側から順にSiの析出を起こさせる手法である。このとき,先に析出したSiが種結晶の役割を果たすので,基板上での核発生の制御の必要がないと考えられる。本研究は,この原理を用いた結晶成長の機構を把握することでこの製造プロセスの可能性を示し,さらにそのコスト評価を行って有効性を示すものである。本年度は温度勾配下におかれた結晶の安定形,および成長形を決定する因子を解明と結晶成長機構の検討を行った。温度勾配をつけた基板上での成長を行うのと平行して,拡散機構支配のモデルシミュレーションを行って両者の比較を行った。解析を単純化するためにSiの単結晶基板上での成長について検討することとした。 実験の結果を解析するため、拡散支配を前提としたモデルで数値シミュレーションを行った。溶液内の2次元の拡散(温度勾配方向,溶液深さ方向)のみを考慮し,固液界面における溶解平衡を境界条件とした。溶液層の厚みが小さいので対流の影響は無視した。その結果,実験で観察された高温側から低温側へのSiの輸送の効果は再現できた。モデルから得られた拡散係数は純物質(Si, Cu)それぞれの融点異常の融液に対する粘度の温度依存データを元にして推定した値の5倍程度であることが分かった。この違いは純物質から拡散係数の推定精度が低いためと考えられる。 尚,本研究では金属容媒にCuを用いることにした。この手法で成長するSi薄膜には金属が不純物として混入して太陽電池性能に影響を与えることが問題となるのであるが,成長後の熱処理によってCuは薄膜から容易に除去できるために問題にならない上,低コストな材料であるためである。Cuの混入による薄膜の特性への影響を,Si結晶中の少数キャリア寿命の低下によって評価したところ,故意にCuを均一な濃度にドープした単結晶Siウェーハ中の少数キャリア寿命は,Cuドープ濃度に応じて低下することが確認されたものの,その後に不純物除去のためのゲッタリング処理を行うことで大幅に回復することが確認された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Kita, C.Wen, J.Otomo, K.Yamada, H.Komiyama, H.Takahashi: "Study on the lateral growth of silicon films from metal solutions with temperature gradient""Journal of Crystal Growth. 234. 153-158 (2002)