2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属溶媒を用いたシリコン薄膜の低温作製プロセスの開発
Project/Area Number |
13750685
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脇 慶子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70312999)
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Keywords | シリコン / 結晶 / 溶解析出法 / 温度勾配 / 銅 / Al |
Research Abstract |
本研究では溶解析出法を利用して、金属溶媒や添加物がシリコンの核発生への影響について調べ、薄膜多結晶シリコンをSi以外の異種基板上に作製することを目的とする。本研究の結果から以下のとこが明らかになった。 ・Alが石英ガラス基板上のSiO_2を還元してSiを生成することを熱力学計算から確認し、Al塗付基板のアニール実験によりSiの生成を実験的に確かめた。 ・Alを添加したCu-Si融液から、石英ガラス基板上に直接結晶Siの連続薄膜を作製することに成功した。Si薄膜は(111)面に配向し、特にgrainが観察されず、単結晶である可能性が高い。Si中のCuおよびAl濃度はEDXの検出限界(1wt%)以下であった。 ・Al添加Cu融液からSiの析出実験の結果からはCu-Si融液へのAl添加量は0.1wt%程度が適当であることがわかった。また、Alを添加したCu-Si融液からのSi析出において、冷却法を工夫することによる析出Siの配向性の向上が観察された。 ・石英ガラス基板上にSi薄膜を作製した場合、熱膨張係数の違いによってSi薄膜にヒビが入り、作製したSi薄膜の電気的特性の評価は行えなかった。Siウェハやムライトなどの支持基板上にSiO_2層を形成した基板を用いることで、Si薄膜の特性評価が可能になるであろう。 ・冷却温度幅を制御することにより、Si薄膜成膜過程を観察した。溶媒Cu量、成膜雰囲気などの実験条件とSi膜質との相関を検討した。実験結果を説明するには、SiはSi-Al-Cu層を介して析出したモデルが考えられる。 ・更に、成膜雰囲気依存性の詳細な検討を行うためには実験装置の改良が必要である。作成したモデルでは気相中の酸素分圧がSi析出に大きく影響するが、今後の検討によるモデルの検証が望まれる。
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