2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
高須 登実男 九州工業大学, 工学部, 助教授 (20264129)
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Keywords | 銅電解精製 / 高電流密度 / 数学的モデル / 析出形態 / 不純物濃度 / 分極特性 / 物質移動 / 強制対流 |
Research Abstract |
本研究では、電解液流動を制御することにより銅電解精製の高速化の実現を目指している。高電流密度で電解を行ったときに問題となるのは、アノードの不働態化、カソードにおける密着状態の悪化と純度の低下などである。これらの問題にたいする流動の効果を理論および実験を通して明らかにし、実操業規模の装置への効果的な液流動方法を開発することを目的としている。 本年度は、小型電解実験により流動条件が電解挙動に及ぼす影響を調査するとともに、その挙動を再現できる数学的モデルを構築し、実機規模の装置にたいする流動の影響を評価した。 小型電解実験では高電流密度において電解液の流動が、カソード電位、析出形態、不純物濃度に及ぼす影響を調査し、以下の知見を得た。電位規制法では、流速が高くなるほど電流密度は高くなる。不純物濃度は、電流密度が高いほど増加する。流速0〜0.2m/sの範囲ではBi、As、Sbの順で流速の依存性が小さくなり、測定された分極特性で整理できることが分かった。電流密度400〜1200A/m**2の条件では、0.07m/s以上の流速で、カソード表面を平滑化できる。これは高さ50μm、直径150μmの島状析出物の出現を抑制できた効果であることを見出した。さらにこの流速は物質移動係数6.2×10**(-6)m/sに相当することを見積もり、実機における流動設計の目処を得た。 電解槽内の物質移動と電気二重層での電気化学反応を考慮に入れて、分極特性を表す数学的モデルを作成した。強制対流および電解により電解液組成が変化することで引き起こされる密度対流が分極特性に及ぼす影響を調査した。電極反応の数学的モデルから得られた計算結果は実験結果と対応していることを確認し、構築した数学的モデルが現象解明および装置設計に有効であることを示した。
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