2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750700
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
後藤 健彦 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10274127)
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Keywords | N-イソプロピルアクリルアミド / NN'-メチレンビスアクリルアミド / 感熱性ゲル / 多孔質構造 / 膨潤・収縮速度 / 伝熱速度 / NN'-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド / 共重合 |
Research Abstract |
主モノマーのN-イソプロピルアクリルアミド濃度を1500mol/m^3とし、架橋剤のNN'-メチレンビスアクリルアミド濃度を3.75〜60mol/m^3で変化させて温度50℃で円柱状のゲルを合成し、各種合成条件がゲルの膨潤特性に与える影響を検討した。 1.多孔質高分子ゲルの合成条件の膨潤・収縮速度への影響評価 合成条件の膨潤速度への影響を検討した結果、合成温度が高くなる程、膨潤・収縮共に速くなることが分かった。ポリマーの相転移温度付近の重合温度では、多孔質構造が形成され難いが、合成温度が高くなる程相分離が顕著になり多孔質構造が形成が促進されるため、ゲル内部での水の拡散が容易になるためであると考えられる。また、同様に合成時の架橋剤濃度が高くなるほど、多孔質化が促進し膨潤・収縮が速くなることが分かった。ただし、収縮速度は膨潤速度合成条件による大きな違いは無かった。ゲル内部の温度変化と体積変化の関係を架橋剤濃度の異なるゲルを用いて比較した結果、内部の温度変化は架橋剤濃度によらずほぼ同じだが、体積変化は、60mol/m^3の多孔質なゲルでは、膨潤が速く温度変化と体積変化の速度がほぼ向じ出会ったのに対し架橋剤濃度3.75mol/m^3のゲルでは、膨潤速度が遅く温度変化の速さにに対応しないことが分かった。 2.合成条件の内部構造への影響評価 合成条件を変えたゲルの内部構造をSEMで観察した。多孔質構造は微粒子状のゲルが相互に連結した構造から成っており、架橋剤濃度が高いゲル程、粒子径が小さく空隙郡分の多い構造になっていることが分かった。また、低架橋剤濃度のゲルの場合は膨潤時に形成されている細孔が収縮時には閉息してしまうことが分かった。 3.内部構造の膨潤・収縮速度/伝熱速度へのの影響評価。 架橋剤濃度の低いゲルは収縮時に細孔が消失してしまい、これが、低架橋ゲルの膨潤が遅い原因の一つであると考えられる。一方、膨潤状態では架橋剤濃度が低いゲルでも細孔が存在し、水のゲル内部への拡散を促進するため、収縮速度は膨潤の場合ほど大きな差が無かったと考えられる。また、膨潤の場合、伝熱速度は内部構造の影響をあまり受けず、3.75mol/m^3、60mol/m^3共ににゲル中心部の温度変化は同じであったが、非定常の熱伝導であるために、さらに検討が必要ある。 4.親疎水性の変化の膨潤・収縮速度への影響評価 親水性のNN'-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを3%共重合した多孔質ゲルとの膨潤速度を比較した。同様な多孔質構造を持ったゲルでも体積の経時変化の様子が異なることが分かった。原因については今後の検討課題である。 来年度は以上の研究成果に基づき、膨潤・収縮過程のモデル化を行う計画である。
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Research Products
(1 results)