2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750710
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村上 賢治 秋田大学, 工学資源学部, 助手 (10272030)
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Keywords | 褐炭 / イオン交換選択性 / 重金属除去 / 熱処理 / カルボキシル基 / 酸強度分布 / 事前処理 / イオン交換速度 |
Research Abstract |
今年度はオーストラリア、ビクトリア州産のLoy Yang褐炭に事前処理を施し、そのイオン交換挙動を検討することにより、以下の知見を得た。 1.カルボキシル基の酸強度分布に及ぼす事前処理の影響 原炭中のカルボキシル基の酸強度にはpKa4.5を中心とした幅広い分布が存在することを見出した。これは原炭中に存在するカルボキシル基の周辺構造が多様であるためと考えられた。この酸強度分布を変化させるために以下の事前処理を施した。カルシウム、コバルト、ニッケル、又は亜鉛を褐炭中の一部のカルボキシル基とイオン交換し、その後300℃で熱処理し、金属イオンと結合していないカルボキシル基のみを熱分解させた。更に、酸洗いを行い、カルボキシル基に結合している金属イオンを除去した。このような事前処理により、酸強度分布は大きく変化した。カルシウム、亜鉛を事前処理に用いた場合、pKa3付近のカルボキシル基が残存し、一方、コバルト、ニッケルを事前処理に用いた場合、pKa5付近のカルボキシル基が優先的に残存することが分った。 2.イオン交換選択性の検討 イオン記憶を目指して上述の事前処理を施したが、そのような効果は殆ど見られず、事前処理に用いた金属イオン種は殆ど再吸着しなかった。そこで、これらの試料を用い、鉛、カドミウムの吸着挙動を検討した。原炭では殆ど選択性は見られず、いずれの金属イオンも良く吸着した。一方、事前処理炭では鉛のイオン交換量は原炭と同程度であったが、カドミウムは吸着しなくなった。特に、カルシウムや亜鉛を用いた場合、その傾向は顕著であった。 3.イオン交換速度の検討 事前処理炭の鉛、カドミウム交換速度を検討した。事前処理炭ではカドミウムの吸着速度は原炭の約1/10まで減少したのに対し、鉛の吸着速度は原炭の約1/2までしか減少しなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Murakami et al.: "Selectivity of cation exchange property of heat-treated brown coals"Fuel. 80・4. 599-605 (2001)
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[Publications] K.Murakami et al.: "Cation exchange properties of heat-treated Australian brown coal : Influences of pre-exchanged calcium ions"Colloids and Surfaces A : Physicochemical and Engineering Aspects. 193・1-3. 153-159 (2001)
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[Publications] K.Murakami et al.: "In-situ EXAFS Study on Nickel Metal Particles Dispersed on Loy Yang Brown Coal"J.Synchrotron Rad. 8・2. 584-586 (2001)