2001 Fiscal Year Annual Research Report
CVD法による炭素―炭化ケイ素傾斜機能材の組成分布制御
Project/Area Number |
13750715
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60231271)
|
Keywords | 傾斜機能材 / C / Cコンポジット / 熱分解炭素 / 炭化ケイ素 / CVD / プロパン / ジメチルジクロロシラン / 耐酸化性高温材料 |
Research Abstract |
炭素-炭化ケイ素傾斜機能材は、C/Cコンポジットに炭素から炭化ケイ素へと徐々に組成が変化する傾斜コーティング層を付与したものであり、高温耐酸化材料として期待されているが、所望の性能を得るためには傾斜層の組織分布を定量的に制御する必要がある。そこで、本研究では、炭素、炭化ケイ素同時成膜の厳密な反応モデルを開発し、現実的な反応条件における複合膜・傾斜膜の成膜速度や膜質を予測できるモデルを提出することを目的としている。 本年度の研究では、減圧CVD装置を用いて、炭素源として通常使用するプロパンに加え、プロパン分解の生成物であるプロピレン、エタン、エチレンも原料として用い、炭素単独成膜の実験を行なった。石英管(反応管)に石英基板を挿入し、反応管壁ならびに基板上に炭素を成膜させ、基板に堆積した膜の重量をウルトラミクロ天秤で測定し、また膜断面を電子顕微鏡で観察し、成膜速度を求めた。反応器出口ガスはガスクロマトグラフを用いて分析した。その結果、エチレンを除くすべての炭化水素ガスから、反応によって多種類の炭化水素が生じることが明らかとなった。プロパン、エタンからは主としてエチレンが生成し、ついでプロピレンの生成が多かった。他にもC4成分の生成が認められた。これらのガスが生じる過程で炭素が析出し、生成ガスがさらに反応して再び炭素が生じることが明らかとなった。 種々の組成に調製した炭化水素とジメチルジクロロシランの混合ガスを用いて、炭化ケイ素と炭素の同時成膜を行ったところ、プロパン、エタンではジメチルジクロロシランの添加によって炭素生成速度が増大したが、エチレン、プロピレンでは成膜速度はほとんど変化しなかった。ジメチルジクロロシランはメチルラジカルを供給すると考えられ、今回検討した炭化水素の分解反応機構にはメチルラジカルが主要な役割を果たしていることが示唆された。
|