2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750731
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大河内 美奈 東京農工大学, 工学部, 助手 (70313301)
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Keywords | 古細菌 / 16S rRNA |
Research Abstract |
古細菌(Archaea)は核をもたない原核生物でありながら、分子生物学的および生化学的性質はむしろ真核生物に似ている一群の単細胞生物である。古細菌は、リボソーム小サブユニットRNAの塩基配列により定義されており、クレンアーキオータとユーリアーキオータの二大グループに分類されている。また、その性質から主にメタン生成古細菌、高度好塩古細菌、好熱性古細菌などに分類されており、極限環境で生息するための機構や産業上安定性の高い有用酵素の分離源といった面から研究が進められている。しかし、特殊環境に生育しない非好熱性古細菌に関する知見は少ない。近年、DNAプローブを用いた探索により、古細菌が極限環境だけではなく環境中に分布していることが報告された。また、海洋中の古細菌の分布を調査した結果、海洋中層域に古細菌が多数存在し、ある種の超好熱性古細菌(多くはクレンアーキオータ)が低温環境に順応したものであることが細胞膜中の脂質を分析することにより示された(D.C.Smith, Science 293, 56(2001) ; M.M.M.Kuypers et al., Science 293, 92(2001))。これらの非好熱性古細菌は、単離・培養に成功しているものはなく、その生化学的特性についても解析されていない。本研究は、非好熱性古細菌を探索し、単離することを目的とした。本年度は、非好熱性古細菌を探索するため、古細菌に特異的な16S rRNAの塩基配列を元にプローブを設計し、PCRを行った。岩手県釜石市の平田湾沖から採取した海水をサンプルとし、ドデシル硫酸ナトリウム存在下でプロテイナーゼK処理後、PCRを行った。しかし、今回のサンプルについては、PCRにおいて増幅がみられたものはなかった。そこで、新たにプライマーの設計を行った。今後、様々な環境サンプルについて古細菌の探索を行う予定である。
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