2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヨタケ培養液を用いたフェノール系内分泌攪乱物質除去システムの開発
Project/Area Number |
13750732
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
櫻井 明彦 福井大学, 工学部, 助手 (40283163)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / ペルオキシダーゼ / 重合沈殿除去 / ヒトヨタケ / フェノール類 |
Research Abstract |
はじめに回転円板型培養器を用いてヒトヨタケ(Coprinus cinereus)によるペルオキシダーゼ生産を行った。円板枚数と培養液の体積を変化させて、微生物膜の比表面積(微生物膜の面積/培養液の体積)とペルオキシダーゼ生産性の関係について検討したところ、最大ペルオキシダーゼ活性は、比表面積2〜4.5の範囲でほぼ一定となった。また、生産速度は3〜4.5で最も高い値となった。これらの結果から、比表面積を3.5付近に設定した場合に最も高い生産性が得られることが明らかとなった。次に、培養液の入れ替えによる反復回分培養を行ったところ、少なくとも培養液の入れ替え6回目まで高い生産性を維持できることが分かった。なお、反復回分培養での生産性は、既報の文献値と比較して最高レベルであった。 次に、ヒトヨタケにより生産したペルオキシダーゼ(培養液)を用いてノニルフェノールの除去について検討した。ノニルフェノールに対する過酸化水素の添加量について検討したところ、モル比で7付近が最適であることが明らかとなった。この値は、フェノール(最適モル比1付近)やビスフェノールA(最適モル比2付近)に比べて著しく大きく、反応機構が異なることが予想された。最適反応温度は、25〜40℃であったが、0〜60℃の範囲では安定した除去率が得られた。pHについては、7付近が最適であり、酸性領域やアルカリ性領域では著しく除去率が低下した。反応後の溶液の急性毒性、エストロゲン様活性について測定したところ、反応前に比べて高い毒性やエストロゲン様活性は検出されなかった。この結果から、ペルオキシダーゼによる反応では有害な物質は生成していないと考えられる。また、反応中間体や生成物についてLC/MSとGC/MSを用いて測定したが、反応生成物の濃度が非常に低いため特定することはできなかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] A.Sakurai, S.Kawamoto, J.F.Abarca, M.Sakakibara: "Peroxidase production by Coprinus cinereus using rotating disk contactor"Biochemical Engineering Journal. 10. 47-53 (2002)