2001 Fiscal Year Annual Research Report
有用単鎖抗体遺伝子の生体外大規模発現検索システムの構築
Project/Area Number |
13750734
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河原崎 泰昌 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (80303585)
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Keywords | 単鎖抗体 / 大規模発現検索 / 無細胞蛋白質合成系 / 小麦胚芽抽出液 / scFv / 進化工学的機能改変 / ハイスループット スクリーニング |
Research Abstract |
単鎖抗体(single chain Fv、scFv)は、抗体分子の抗原認識部位であるV_IIとV_Iの2つの可変領域を柔軟なペプチドリンカーで連結した人工的な抗体分子である。scFvは、ハイブリドーマによって生産されている元の天然型抗体分子よりも遺伝子組換え菌を用いた生産が比較的容易であるなどの利点を有し、診断・治療への応用が非常に期待される分子である。しかしながら、scFv蛋白は組換え菌では多くの場合不活性な封入体の形で生産されるため、scFvライブラリの機能検索は容易ではない。 本研究では、scFv遺伝子ライブラリの発現・機能探索システムを、小麦胚芽抽出液を用いた無細胞蛋白質合成系を利用して構築する事を試みた。モデルscFvとして、糖尿病の初期マーカー蛋白質であるヒト血清アルブミン(HSA)に対する特異抗体から得られたscFvを用いた。本年度の検討により、scFv蛋白そのものは合成系内で非常に安定であるが、C末端側に融合した検出用エピトープタグの安定性が非常に低いことがわかった。この融合蛋白質の安定化を試みたところ、cMycタグの採用、プロテアーゼ阻害剤の添加、C末端の配列最適化により、エピトープタグの安定性を飛躍的(数倍程度)に増大させる事ができた。この結果、抗原に結合したscFv分子の検出が容易になった。 一方、さらに抗原結合能が向上したscFv分子を効率よく取得するため、蛍光蛋白質(GFP)との融合蛋白質として発現させ、scFv-GFPの発する蛍光により検出することを試みた。野生型GFPは不溶性となりやすく、蛍光中心の形成に非常に時間がかかるため、このシステムに用いるのは不適切である。このため、進化工学的手法を用いて37℃、高発現条件下でのフォールディング能、蛍光中心形成能が劇的に向上したGFP変異体を作製した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 河原崎泰昌, 中野秀雄, 山根恒夫: "無細胞タンパク質合成系を用いたコンビナトリアルバイオエンジニアリング"生物工学会誌. 79・2. 360-363 (2001)
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[Publications] 中野秀雄, 河原崎泰昌, 山根恒夫: "無細胞蛋白質合成系の進歩と応用"現代化学. 370・1. 66-72 (2002)
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[Publications] Kawarasaki Y. et al.: "A method for functional mapping of protein protein binding domain by preferential ampllfication of the shortest amplicon using PCR"Analytical Biochemistry. (2002)