2001 Fiscal Year Annual Research Report
2次元ナノサイズ構造規制層状半導体薄膜による可視―紫外光の高効率利用化の試み
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13750764
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鯉沼 陸央 熊本大学, 工学部, 講師 (70284742)
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Keywords | 層状化合物 / 可視光応答 / 光酸化反応 / ニオブ酸化物 |
Research Abstract |
高配向性の2次元層状酸化物薄膜を作製し、光学特性を評価した。特に、ニオブ酸層状薄膜は高い光学特性を示すことがわかった。K_4Nb_6O_<17>を材料にした薄膜は、350nm以下の紫外光によって、層間に存在する水を酸化分解すること分かり、さらに、層間において、メタノールやエタノール、フッ素などの低分子量の分子を酸化分解できることも明らかにした。また、層間に可視光応答可能なCdS微粒子を固定化することで、可視光領域である500nmの光によっても光酸化反応が生じることを示した。層間に固定化したCdSは酸化溶解をほとんど起こさないため、長時間、効率が変化せずn型半導体的挙動を示すことが分かった。 また、KCa_2Nb_3O_<10>やCsPb_2Nb_3O_<10>等を材料にした薄膜もK_4Nb_6O_<17>薄膜と同様にn型半導体の性質を示した。特にKCa_2Nb_3O_<10>は、紫外光照射によって、メタノールの白金表面での酸化反応を非常に促進させることが分かった。メタノールの酸化反応は、白金基板のみの場合に比べてKCa_2Nb_3O_<10>粉体を白金基板上に固定したものでは数100倍の効率を示し、最終的には二酸化炭素まで酸化することが分かった。これは、KCa_2Nb_3O_<10>に光を照射することによって生成した価電子帯内の正孔が白金表面でのメタノールの酸化反応を促進させたためであると考えられる。KCa_2Nb_3O_<10>の層状化合物の構造の特徴を利用するため、層間にPtをインターカレートした薄膜を作製し、メタノールの光酸化皮応を検討したところ、白金基板上にKCa_2Nb_3O_<10>粉体を固定した場合とほぼ同様の光酸化電流が検出できた。 来年度は、可視光でも高効率で応答可能なニオブ酸薄膜の作製を目指す。
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