2001 Fiscal Year Annual Research Report
酸素電極による細胞呼吸活性変化の経時的解析と生体組織イメージング解析法の開発
Project/Area Number |
13750766
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上田 岳彦 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (80293893)
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Keywords | 酸素電極 / 抗がん剤感受性 / アドリアマイシン / colon26 / 酸素消費 / 呼吸活性 |
Research Abstract |
細胞呼吸量変化の追跡-マウスがん細胞を用いた酸素消費速度の迅速決定法の確立と新規で簡便な抗がん剤感受性試験法の開発 [腫瘍組織片の酸素消費活性]マウスcolon26腫瘍細胞をマウス腹部皮下に移植し、その増殖形成した腫瘍組織を組織断片(5.0mm×5.0mm×3.0mm,35mg wet)またはそのミンシング組織懸濁RPMI培地(50mg wet)としてDOX-10セルに入れて密閉下(5.0ml RPMI medium,37℃)で酸素消費を測定した。腫瘍組織の活性測定と同時にRPMI培地のみを試料として測定し、装置定数の決定に供した。また測定継続中20分後にアドリアマイシンを空気との遮断を保ったまま静かに注入し、アドリアマイシン投与前後の酸素消費活性の変化を追跡した。 [対数相対酸素消費率の導入と同プロットによる細胞活性の変化の検出]酸素電極の理論モデルに基づき、酸素消費率R(%)を新たに定義した。測定セルの酸素消費が電極によるもののみの場合は、1/Rが測定時間の平方根に対して線形であることを利用して、直線プロットからのずれにより細胞による酸素消費を検出することに成功した。また、電極のみの場合との相対酸素消費率R/Reが近似的に細胞による酸素消費の指数関数となることを見出し、その対数プロットから腫瘍細胞組織片およびミンシング懸濁溶液の酸素消費活性を決定した。コントロールの場合に0で一定となったのは、電極以外の酸素消費がないことを表す。また、組織片の場合は直線的に増加し、一定の速度で組織片が酸素を消費することを反映している。ミンシング懸濁液は直線的増大の後、約45分後からはコントロールと同様に一定値を保つようになった。これは20分後に投与したアドリアマイシンの効果により細胞の酸素消費活性が著しく抑制されたためと考えられる。 [結論]サンプルを空気から遮断して測定することにより、酸素消費活性の測定精度を向上させることができた。また新規な実験データプロットにより、細胞の酸素消費活性を電極による酸素消費の影響から独立に決定することができることを示した。本方法を適用して実際にマウス腫瘍組織の酸素呼吸活性を測定することに成功し、アドリアマイシン投与による呼吸活性の低下を観測することができた。この場合、投与から約25分後には呼吸活性の低下が認められ、ミトコンドリア活性の低下や増殖能への影響が現れる速度とは異なる速度で細胞の呼吸活性が低下することが認められた。
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