2001 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質ハイブリッド固定化電極を利用した新しいセンサー技術の開発
Project/Area Number |
13750767
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
来栖 史代 鹿児島大学, 工学部, 助手 (40325767)
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Keywords | チトクロムc / 電極酸化還元応答 / 非水溶媒 / 固定 / 積層 / 交互吸着法 / スピンコート法 / 高分子電解質 |
Research Abstract |
チトクロムc(cyt.c)とクラウンエーテルとの複合体を作成し、メタノールでのコンフォメーションを紫外可視吸収スペクトル及びCDスペクトル測定により、電極酸化還元応答をサイクリックボルタンメトリー(CV)測定により解析した。その結果、メタノール中での構造変化が認められ、酸化還元応答を観測することはできなかった。酸化還元応答が認められなかった原因としては、cyt.cの酸化還元活性中心であるヘム基周辺のリジン残基へのクラウンエーテルの相互作用の影響も考えられた。この結果については、第38回化学関連支部九州大会で報告した。 クラウンエーテルと複合体を形成させることによる、cyt.cの非水溶媒中での電極酸化還元は困難であると考え、交互吸着法の利用を考えた。交互吸着法は多量のタンパク質を容易に基板上に固定できることが知られているおり、溶媒とタンパク質層を高分子電解質層で隔離できるため、非水溶媒中での利用も期待できる。しかし交互吸着法により積層したタンパク質の電気化学に関する知見は非常に少ない。そこでcyt.cの交互吸着法による金電極上への積層を試み、基礎知見を得るために、リン酸緩衝液中での電極酸化還元応答をCV測定により、膜厚をQCM測定により評価した。その結果、高分子電解質溶液中へのcyt.cの溶出が認められ、積層は実現できなかった。そこで、スピンコート法による積層を考えた。スピンコート法によるタンパク質の積層、及びその電気化学についての報告はこれまでのところ皆無である。現在検討中ではあるが、これまでにスピンコート法によりcyt.cを変性させることなく電極上に固定できることを明らかにしている。今後積層を行い、高分子電解質の種類や分子量に対する依存性について解析した後、非水溶媒中への導入を検討する予定である。また、得られた知見については第51回高分子学会年次大会で報告する予定である。
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