2001 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドギャップ導電性カルコゲナイド及びオキシカルコゲナイドの合成
Project/Area Number |
13750772
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
植田 和茂 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (70302982)
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Keywords | 硫化物 / オキシ硫化物 / 層状化合物 / 電気伝導性 / ワイドキャップ |
Research Abstract |
CuS層を有するオキシ硫化物が透明性とドーピングによって制御可能なp型伝導性を併せ持つことを我々は以前見出した。さらに、そのオキシ硫化物中において光励起によりCuS層に室温エキシトンが生成することも初めて見出した。これらの電気的・光学的特性は、結晶構造中に存在するCuS層の二次元性に由来するものと考えている。本研究では、この予測を拡張して、結晶構造にCus一次元鎖を有する物質が、どのような電気的・光学的性質を示すかについて検討した。CuS一次元鎖を有する物質としてBaLaCuS_3を選択した。試料は、各単純硫化物を原料として、固相反応法により合成した。p型伝導性の発現を目的としたホール導入において、Ba欠損、BaのK置換、LaのBa・Sr置換を試みた。その結果、Ba欠損の導入においてのみ、試料にp型伝導性が発現し、その伝導性はBa欠損量はって制御可能であることが見出された。拡散反射率によって見積もったエネルギーギャップは約2.1eVであり、可視域全域において透明ではないものの、Cu(I)を含有する硫化物としては、比較的大きいバンドギャップであった。BaLaCuS_3におけるp型伝導性の発現およびBaLaCuS_3のワイドバンドギャップは、CuS四面体が頂点共有するCuS一次元鎖の低次元性に由来するものと考えられる。
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