2001 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス内部の三次元空間における光化学反応を利用した大容量光記録媒体の開発
Project/Area Number |
13750775
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 晃司 京都大学, 工学研究科, 助手 (50314240)
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Keywords | ガラス / 大容量光記録 / 光化学反応 |
Research Abstract |
近年、広帯域波長可変固体レーザーのモード同期技術や超短パルス光の増幅技術の発展にともなって、平均パワーが1W程度のフェムト秒レーザーが簡単に手に入るようになった。その大きな特徴は、ビームを光の回折限界まで絞り込むと、ピークパワーが〜10^<18>W/Cm^2にも達することである。水素原子をイオン化するための電場強度は〜10^<16>W/cm^2であるため、フェムト秒レーザーを利用することにより様々な物質のイオン化が十分可能である。また、フェムト秒レーザーパルスは電子が格子温度に緩和する前にその局所領域を通過するため、レーザーパルス照射にともなう熱過程は、ピコ秒やナノ秒パルスレーザーに比べて極めて小さくなる。これは、熱的な影響を抑えて化学結合の切断や欠陥の生成を可能にすることを示唆しており、透明材料の新しい加工や機能発現が期待される。 平成13年度は、フェムト秒レーザーを用いた大容量三次元光記録用ガラス材料の開発のための基礎実験を行った。具体的には、フェムト秒レーザーを集光照射してガラス内部のSm^<3+>を空間選択的にSm^<2+>へ還元して情報を書き込み、Sm^<2+>による赤色蛍光を利用して情報の読み出しを行った。読み出し光源はAr^+レーザー(488nm、1mW)である。多くの光記録では信号を反射強度比として読み取るが、この現象を利用するとSm^<3+>とSm^<2+>による蛍光波長の差を読み取ることが可能である。ガラスを走査させながらアルファベットを描いた後、Sm^<3+>とSm^<2+>による蛍光波長の違いを利用してそれを読み出した結果、ガラス内部の異なった深さ方向の文字がお互いに干渉することなく読み出せることが明らかになった。パルスの照射条件を調整すると、ビットの大きさとビット間の距離はそれぞれ約200nmと150nmになり、これを精度よく面内及び深さ方向に記録すれば、テラビット級の超高密度な三次元光記録が実現できる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Fujita: "Photoinduced Valence Changes of Samarium Ions Inside a Silica-Based Glass with Near-Infrared Femtosecond-Laser Pulses"Japanese Journal of Applied Physics. 40・3B. 1651-1652 (2001)
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[Publications] K.Fujita: "Photochemical Hole Burning of Sm^<2+> in Sodium Borate Glasses Induced by Near-Infrared Femtosecond-Laser Irradiation"Journal of Ceramics Society of Japan. 109・6. 484-488 (2001)
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[Publications] K.Fujita: "Room-Temperature Photochemical Hole Burning of Eu^<3+> in Sodium Borate Glasses"J. Physics : Condensed Matter. 13. 6411-6419 (2001)
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[Publications] K.Fujita: "Ultrashort Laser Pulses Induced Persistent Spectral Hole Burning of Eu^<3+> in Sodium Borate Galsses"Optics Letter. 26・21. 1681-1683 (2001)
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[Publications] 藤田 晃司: "希土類イオンの光化学反応を利用したガラスからの新しい機能発現"「化学と工業」(化学のフロンティア特集号、日本化学会). 54・2. 152-155 (2001)
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[Publications] K.Fujita: "Photochemical Reaction of Samarium Ions within Sodium Borate Glasses Irradiated with Near-Infrared Femtosecond Pulsed Laser"J. Luminescence. (印刷中). (2002)
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[Publications] K.Fujita: "The Encyclopedia of Smart Materials"Wiley (New York, USA). 13 (2002)