2001 Fiscal Year Annual Research Report
酵素を利用した有機/無機メソ複合体の合成と機能性多孔質材料への応用
Project/Area Number |
13750778
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
矢田 光徳 佐賀大学, 理工学部・機能物質化学科, 講師 (20274772)
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Keywords | アルミナ / メソ多孔体 / 均一沈殿法 / 多孔体 / 複合体 / 酵素 / ナノ |
Research Abstract |
尿素を用いた均一沈殿法によるアルミナ/有機分子ナノ複合体の合成を試みた。アルミニウム源として硫酸アルミニウム、有機分子としてデキストラン硫酸ナトリウムをそれぞれ用い、これらに水と尿素を加えて反応溶液とした。尿素の加水分解による水酸化物イオンの供給を促進する方法としては、反応溶液を80℃に加熱する方法(加熱法)と常温にて尿素加水分解酵素ウレアーゼを用いる方法(酵素法)が挙げられる。本年度はそれぞれの方法により合成した複合体を比較し、酵素法の利点を明らかにした。 EDXにより複合体中のアルミニウムに対するイオウ(デキストラン硫酸イオン中に含まれている)のモル比を調べたところ、酵素法では0.24という値を示し、加熱法による値の約2倍の値を示すことがわかった。また、SEM観察により形態を比較したところ、酵素法では1μm以下の粒径の揃った丸みをおびた粒子が生成していたのに対し、加熱法では大きさや形が不揃いな数μmから十数μm程度の粒子が生成した。酵素法で得られた複合体のTEM観察では、アルミナと有機分子がナノレベルで複合化していることが確認できたが、観察時の電子線照射により構造変化が起こることもわかった。従って、現在、アルミナ骨格をより重合度の高い強度のあるものにするために、得られた複合体の水熱処理を試みている。以上の結果より、酵素法では加熱法により得られる複合体とは全く異なる構造の複合体が生成し、酵素法のほうがより多くの有機分子を取り込んだ均一な粒径のアルミナ/有機分子ナノ複合体粒子を生成しやすいことがわかり、今後の多孔質化に向けて有望なデータを得ることができた。 また、酵素法との比較のために加熱法による様々なメソ複合体の合成にも取り組んでいるが、加熱法によりナノチューブ構造を有する希土類酸化物/界面活性剤複合体を合成できることを明らかにした。しかし、酵素法では希土類酸化物/界面活性剤メソ複合体を合成することはできなかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Yada, M.Mihara, S.Mouri, M.Kuroki, T.Kijima: "Rare Earth (Er, Tm, Yb, Lu) Oxide Nanotubes Templated by Dodecylsulfate Assemblies"Advanced Materials. 14・4. 309-313 (2002)