2001 Fiscal Year Annual Research Report
金属アルコキシドの低次元架橋による分子性ネットワークの構築
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13750781
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
一ノ瀬 泉 理化学研究所, トポケミカルデザイン研究チーム, フロンティア研究員 (50243910)
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Keywords | 金属アルコキシド / 分子性ネットワーク / シリケートシート / ナノワイヤー / 分子ラッピング / 表面ゾルゲル / 蛍光色素 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究は、高機能ナノデバイスや単一分子情報システムの構築に向けて、分子性ネットワークの設計手法の確立を目指す。金属アルコキシドを用いた有機分子の低次元架橋は、その柔軟な結合構造と高速の配位子交換反応のために、規則性の高いネットワーク化を可能にする。本年度は、表面ゾルゲル法により固体表面に吸着した有機分子を、チタンアルコキシドで架橋化し、その2次元シートの構造を種々の表面解析手法により検討した。 一方、金属アルコキシドの水中での架橋反応を特にNa_2SiO_3を用いて検討した。Na_2SiO_3は、酸素-珪素結合からなる1次元のアニオンポリマーであり、酸を加えることで2次元、3次元に架橋化する。ビピリジル基を主鎖にもつカチオンポリマー水溶液にNa_2SiO_3を加えると、ポリマー鎖の表面でシリケートが架橋化し、1本のポリマー鎖が1枚のシリケートシートで覆われたナノケーブルが得られることが見出された。ケーブルの直径は、約2.5nmであり、長さは用いた高分子の分子長に対応することが、電子顕微鏡より確認された。 本研究では、金属アルコキシドの2次元架橋が、個別の分子をコーティングする手法に利用できることを見出し、Molecular Wrappingの研究を広範囲に展開させている。既に、蛍光色素をチタニア超薄膜でラッピングすると、高濃度でも濃度消光されにくいことが見出されており、1本の糖鎖の酸化物超薄膜でラッピングすることで、生体高分子の可視化にも成功した。 金属酸化物のシートで包まれた分子は、外界から物理的に遮蔽されており、集合形態や化学的環境にかかわらず、個別分子としての特性を保持することができる。このような分子性材料を用いたネットワークの形成が、現在進行中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Izumi Ichinose: "Ultrathin Composite Films : An Indispensable Resource of Nanotechnology"Riken Review. 37. 34-37 (2001)
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[Publications] Izumi Ichinose: "Molecular Wrapping of a Fluorescent Dye with TiO_2-gel and Capping Reagents"Chemistry Letters. 2001. 626-627 (2001)