2002 Fiscal Year Annual Research Report
面不斉に基づく新規分子不斉金属錯体の設計と不斉合成触媒能
Project/Area Number |
13750804
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
杉本 裕 東京理科大学, 工学部, 助手 (20271330)
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Keywords | 面不斉 / キラリティ / 光学活性 / 光学分割 / 不斉合成 / シッフ塩基 / 遷移金属体 |
Research Abstract |
本年度は、まず昨年度に合成され、構造的なフレキシビリティが光学分割を困難にしていると考えられた、ヘプタメチレン鎖で架橋された2つのアニリンとサリチルアルデヒド誘導体から分子内に2つのシッフ塩基ユニットを有する配位子の銅錯体に関して、X線結晶構造解析により、その立体構造を調べた。その結果、結晶中には、当初期待していたような立体構造を持つ錯体は含まれておらず、2分子の2座配位子と2原子の銅イオンからなる複核錯体であることがわかった。また、この錯体の金属周囲の配位環境は、キラリティを発現するための条件を満たしていないことも合わせて示されたため、この構造の配位子から目指す分子不斉金属錯体の合成は難しいと判断し、設計を変えることにした。 詳細な文献検索等により、配位子に導入する2つのシッフ塩基ユニットを結ぶ架橋鎖部分の構造をエーテル結合によって結ばれた2つのナフチル基へと変更した。まず、1-アミノ-7-ナフトールのアミノ基をアセチル茎で保護し、ナトリウムの存在下、1,4ジブロモブタンと反応させて架橋部のエーテル鎖を導入した。次にエチレングリコール中、水酸化カリウムを用いて脱保護し、エーテル架橋により結ばれたビス(1-ナフチルアミン)を合成した。これをサリチルアルデヒドと反応させてビス(シッフ塩基)配位子を合成した。続いて、シッフ塩基配位子を酢酸銅と反応させ、目的とする錯体を合成した。(質量スペクトル、赤外スペクトルから同定)得られた錯体の構造をX線結晶構造解析により調べたところ、期待通りの立体構造を有する錯体、すなわち分子不斉金属錯体であることがわかった。現在は光学分割の条件を調べているところである。
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