2002 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性を有する共役高分子の合成とポリマー1分子の光機能イメージング
Project/Area Number |
13750809
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
篠原 健一 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (10292244)
|
Keywords | ポリマー / 1分子 / AFM / TIRFM / 発光 / イメージング / 合成 / 重合 |
Research Abstract |
高分子は非常に優れた性能を持つ有用な物質であり、我々人類が文明を維持・発展させる上で不可欠な材料である。ところが、高分子は一般にその構造が柔軟かつ多様で非常に複雑であるために、分子レベルでの構造と機能の相関関係を直接議論することが難しい。そこで私は、ポリマー鎖1本の構造と機能を直接観測することが出来れば、推論や仮定を最小限に抑え、最も明確に分子構造と機能との関係を明らかにすることが可能になり、ひいては新しい設計思想と作動原理に基づく単一分子デバイスの創製に発展するものと考えた。 独自に自作したポリマー1分子の構造と機能の同時観測装置は、試料を載せた基板の上面から原子間力顕微鏡(AFM)でその分子の構造をイメージングして、下面から全反射型蛍光顕微鏡(TIRFM)で1分子蛍光発光をイメージングすることによって、ポリマー1分子の構造と蛍光発光機能の同時イメージングを達成する。試料のポリマーは、・-シクロデキストリン(・-CyD)がπ共役系主鎖を包接したポリロタキサン(+)-poly[AEPE-rotaxa-(・-CyD)]を用いて、大気中室温下でポリマー1分子の構造と蛍光発光機能の同時イメージングを行った。 AFM像からポリマー鎖が伸びていることが確認された。このことから、スポット状のAFM像は、ポリマー鎖が糸鞠のように絡み合って形成されている小球体(グロビュール)であること、そして糸鞠から糸が解れているかのように、この球からポリマー鎖が伸びていることが新たに発見された。このポリマー鎖の断面の解析から、ポリマー1分子の構造と機能の同時イメージングが達成されているものと考察した。最も興味深いことは、π共役系ポリマー分子ネットワークが光エネルギーをコミュニケーションしている現象を捉えたことである。ポリマー1分子から分子ネットワーク・デバイスへの展開が期待される。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Ken-ichi Shinohara, Toshiki Aoki, Takashi Kaneko: "Helical Chirality of π-Conjugated Main-Chain Induced by Polymerization of Phenylacetylene with Chiral Bulky Pinanyl Groups : Effects of the Flexible Spacer and Polymerization Catalyst"J. Polym. Sci., Part A : Polym. Chem.. 40. 1689-1697 (2002)
-
[Publications] Yoshihiro Kato, Satoshi Sugimoto, Ken-ichi Shinohara, Nobuyuki Tezuka, Toshio Kagotani, Koichiro Inomata: "Magnetic Properties and Microwave Absorption Prperties of Polymer-Protected Cobalt Nanoparticles"Mater. Trans.. 43. 406-409 (2002)