2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750818
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
平野 朋広 徳島大学, 工学部, 助手 (80314839)
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Keywords | ラジカル重合 / イタコン酸エステル / 立体規則性 / 連載動反応 |
Research Abstract |
最近、イタコン酸ジ-n-ブチル(DBI)のバルク重合では温度を変化させるだけでシンジオタクチックからイソタクチックリッチまでの幅広い立体規則性をもつポリマーが得られることを見出した.しかし、^<13>C NMRを用いた構造解析から、60℃より高温では分子内連鎖移動反応が起こることが分かった.本研究では、分子内連鎖移動反応を抑制するとともに得られたポリマーの立体構造を制御できる立体特異性ラジカル重合系の開発を目指した. 1.分子内連鎖移動反応と立体規則性 DBI濃度を変化させて100℃で重合を行うと、DBI濃度が低くなるにつれて分子内連鎖移動反応が起こりやすくなるだけでなく、得られたポリマーのシンジオタクチシチーが減少した.横軸にラセモ2連子、縦軸に分子内連鎖移動反応に由来する^<13>C NMR中のピークの強度をとると、概ね直線関係を示したことから、末端近傍の立体構造がシンジオタクチックな成長ラジカルほど分子内連鎖移動反応を起こしやすいことがわかった. 2.エステル基の構造 エステル基の構造をメチル、エチル、n-ブチル、"i-プロピル(DiPI)に変えて重合を行ったところ、エステル基がかさ高くなるほど、分子内連鎖移動反応が起こりやすくなることがわかった. 3.ESR測定 DiPI重合系のESRスペクトルには2種類のコンホメーションの異なるラジカルによるシグナルが観測され、一方は5本線シグナルを与えることが知られている.、PiPI濃度を低下または温度を上昇させると、5本線シグナルの相対強度が低下することを見出した.1.の結果を考え合わせると、末端近傍の立体構造がシンジオタクチックなラジカルが5本線シグナルを与えると考えられる. 4.分子内連鎖移動反応の抑制 Cu錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合系開始剤を用いて、DBIの重合を60℃で行ったところ、分子内連鎖移動反応がほぼ抑制できることがわかった.
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