2001 Fiscal Year Annual Research Report
散乱法を用いた高分子ゲルの網目構造の特性化に関する研究
Project/Area Number |
13750832
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
則末 智久 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (40324719)
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Keywords | 高分子ゲル / 構造不均一性 / 動的光散乱 / 小角中性子散乱 / γ線架橋 |
Research Abstract |
薬物伝達システムやアクチュエーターのような機能性高分子ゲルの開発が精力的に進められている中、その分子特性解析は、網目分子の固有の複雑性により非常に遅れているのが現状である。例えば、ゲル中の網目鎖は架橋の存在により運動性が制限されており、分子特性解析の鍵を握る「濃度揺らぎ」は時間的のみならず空間的にも不均一となる。申請者らはこれまで時間-空間の両側面から光散乱(LS)・小角中性子散乱法(SANS)を駆使した構造とダイナミクスに関する研究を進めてきた。国内外では、モノマーと架橋剤を共重合して得られたゲルを研究に用いて来たが、この場合ゲルに固有な分子構造の凍結現象に加えて、モノマーの反応性の偏りや分子内架橋反応に起因するミクロゲルクラスターを生じてしまう。そこで網目構造の凍結と架橋点空間分布の不均一性を区別してゲルの不均一度を定量化するために、あらかじめ用意した高分子溶液に対してγ線照射による後架橋を行い、ランダムな架橋導入が期待されるγ線架橋ゲルと、従来の架橋剤添加型ゲルの構造と物性の比較を行った。 LS, SANSにより幅広い空間スケールにおいて散乱関数解析を行った結果、架橋剤添加型ゲルおよびγ線照射ゲル共に、架橋度の増加と共に散乱強度は増大し、構造不均一性が増大する結果を得た。さらにPanyukov-Rabinによって考案された統計力学的理論を駆使して架橋点間重合度Nを評価した結果、架橋度の増大に伴う、Nの減少を確認できた。すなわち両者のゲルともに有効に架橋が導入されている事が確認できた。その一方、両者のゲルでは架橋度に対するNの減少傾向が異なり、それらをさらに解析する事で、架橋剤添加型ゲルは、ミクロゲル形成によりゲル化に至るために、γ線照射ゲルと比較してより多くの架橋剤を必要としている事がわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Shibayama, T.Norisuye, F.Ikkai: ""SANS Studies on Frozen Inhomogeneities and Local Structure in Polymer Gels""J. Phys. Soc. Jpn.. vol.70,Suppl.A. 306-310 (2001)
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[Publications] M.Okamoto, T.Norisuye, M.Shibayama: ""Time-Resolved Dynamic Light Scattering Study on Gelation and Gel-Melting Process of Gelatin Gels.""Macromolecules. vol.34,No.24. 8496-8502 (2001)