2002 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光の照射環境で長い繰り返し寿命を示すドープ型フォトクロミック高分子の作製と評価
Project/Area Number |
13750837
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
鈴木 隆之 東京電機大学, 工学部, 助教授 (20257215)
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Keywords | フォトクロミズム / 光異性化 / 蛍光色素 / ドーピング |
Research Abstract |
合成したフォトクロミック高分子,ポリ(オクチルメタクリレート-コ-スピロピランメタクリレート),におけるペリレンなどのドーパントからのエネルギー移動について蛍光分光器や吸収スペクトル測定より議論した。また、イオン性液体のエチルメチルイミダゾリウムトリフレートをドーパントとする当高分子への影響が観測された。これらについて、高効率のForsterエネルギー移動あるいは光再吸収型の現象が考えられる。これらの検討とさらに高効率で紫外光領域の光エネルギーを可視光エネルギーへと変換する条件をフォトクロミック高分子およびドーパントの濃度比や溶媒種等より分光学的に測定した結果、親水性のイオン性液体は当高分子に微量のみ溶解し、過剰においては析出し高分子膜は白濁した。当高分子中のスピロピランメタクリレート部位に対してモル比で30倍までイオン性液体が溶存できたが、紫外線照射からイオン性液体のエネルギー移動を通じて可視光に変換してスピロピランメタクリレートの開環体を閉環体へ光異性化するには十分な可視光量にはならなかった。イオン性液体は紫外光を吸収し、青色の蛍光を示すが、このようにペリレンなどの色素蛍光分子と比べると蛍光の発光効率はあまり高くないようである。 以上より、紫外光と可視光を含む太陽光をフォトクロミック高分子膜に照射して、高分子鎖中のスピロピラン部位の開環体から閉環体への高効率な光異性化を実現するために、高分子膜中にいくつかのドーパントを分散固定させてエネルギー移動により紫外光を可視光成分に変換させる効果を検討してきた。蛍光色素のペリレンが効率よい成果を示すことが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 鈴木 隆之: "有機フォトクロミック化合物を用いた金属イオン吸脱着の光制御"表面技術. 53. 659-663 (2002)
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[Publications] 鈴木隆之, 篠崎開, 大窪潤, 大野清伍, 柴隆一, 藤本明: "理工系 一般化学"東京教学社. 182 (2002)