2002 Fiscal Year Annual Research Report
大口径衝撃銃によるポリマー材料の応力緩和構造と衝撃波伝播の非定常性の解明
Project/Area Number |
13750844
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 保仁 九州大学, 工学研究院, 助手 (80243898)
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Keywords | ポリマー材料 / 平面衝撃波 / 衝撃応力の緩和構造 / 波面伝播の非定常性 / 一段式衝撃ガス銃 / 高速度流しカメラ / 台形プリズム / PVDF応力ゲージ |
Research Abstract |
本研究の当初の目的は、口径100mm、長さ3mの大口径発射管を製作し、これを既存の一段式衝撃ガス銃の観測室と組み合わせることであった。しかし、昨年度の研究実績報告書にも記したように、金額的な問題からこの計画は断念し、衝撃銃の改良は行わずに応力緩和構造と衝撃波伝播の非定常性のより高精度な計測法の確立を目指した。 この目的のため、これまでターゲットの自由表面上における入射光の全反射を得るために使用していた三角プリズムを、特注の台形プリズムに変更した。このことにより、計測用光源の入射角がターゲットに対してほぼ垂直となる場合でも全反射を実現可能となり、ポリマー材料内の衝撃波伝播の非定常性を計測する際に問題となっていた視差による影響を完全になくすことに成功した。ポリマー材料として、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを使用した。これらの材料は、非線形の衝撃圧縮曲線を有しており、その原因が衝撃波伝播の非定常性と関連しているのではないかと考えたからである。衝撃実験は、全て対称衝突条件で行い、くさび形に切り出したポリエチレン試料の自由表面に台形プリズムを配置したターゲットアセンブリーを使用した。 本研究で取り組んだ高精度計測の結果、1GPa以下の比較的低い衝撃応力領域におけるこれらのポリエチレン試料内の衝撃波伝播には、飛翔板との衝突面から2〜10mmの伝播距離において非定常性が見られないことを見出した。これらの試料の場合、この応力領域および伝播距離領域において衝撃波面背後の緩和構造が顕著に現れることを確認している。従って、衝撃波面背後に緩和構造が存在しているにも関わらず、衝撃波伝播速度は一定速度で伝播するというポリマー材料の衝撃特性を、本研究によって初めて見出すことに成功した。
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