2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750855
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱田 孝治 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (30294979)
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Keywords | 潮目 / front / estuary / ROFI / 目視観測 / circulation |
Research Abstract |
本研究では、有明海(有明フェリー航路周辺)に形成される潮目に注目し、(1)CTD観測(2)フェリー上からの目視観測(3)浅海定線調査データの整理の3手法を用いて潮目の成因とその挙動について考察した。 CTD観測は春・夏・秋・冬について各1回(1日〜2日間)行い、同時に観測船上から潮目の記録と漂流物の採集を行った。これにより、対象海域には低塩分水塊が広がって河口フロントを形成し、潮目はもっぱらその先端あるいは背後(低塩分側)に見られることがわかった。 目視観測は長崎・熊本両県営自動車航送線組合(有明フェリー)乗組員によって春・夏・秋・冬の各1ヶ月間にわたり行われ、その結果潮目の形成される場所には偏りがあること、また、季節によって変動があることが示された。また、潮時によって結果を整理したところ、春・秋の島原半島寄りの潮目が潮時によって位置を変える様子が捉えられた。 以上の結果から、(a)低塩分水塊は夏には広く有明海湾奥を覆うが春・秋・冬には湾の西側に偏ること(b)春・秋における湾の西側の低塩分水塊は湾奥側に起源を持ち、潮時によって島原半島沿いに南下・北上を繰り返していることが予想された。そこでこれらを検証するため、熊本県によって1974年から行われている浅海定線調査のデータを観測点・季節・潮時によって分類したのち成層強度φ(Czitrom and Simpson, J.Geophys.Res., Vol.103,No.C5,1998)によって評価し、対象海域におけるフロントの季節的な消長や潮時による位置の変化を調べた。その結果は上記の予想とよく一致するものであり、長期間にわたる潮目の目視観測結果が、その海域のフロントの挙動を知るための有力な情報となりうることが示された。
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[Publications] Takaharu Hamada: "Observation of Floating Objects in Ariake Sea"Proceedings of the Twelfth(2002) International Offshore and Polar Engineering Conference. 26-31 (2002)
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[Publications] 濱田 孝治: "有明海における潮目の目視観測"九州大学大学院総合理工学報告. 24巻4号(印刷中). (2003)