2001 Fiscal Year Annual Research Report
冬作物の日射利用の動態-二毛作体系評価のための作物生態学的研究-
Project/Area Number |
13760011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鴨下 顕彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10323487)
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Keywords | 冬作物 / 日射利用 / コムギ |
Research Abstract |
冬作物の生産性を気象環境条件や栽培方法との関係で解析し、作付体系の中での効果的な導入を図るための予備調査として、群落の遮光量の測定システムを構築し、冬作物の生育試験を3つ行った。 まず、管型日射計と分散型データロガーによる群落の日射遮蔽量測定システムを作成した。9本の管型日射計の間には電圧出力に1日平均で26%の差があったので、キャリブレーション式を作成して補正した。 予備試験1では、冬作物5種(コムギ、イタリアンライグラス、レンゲ、ナタネ、ホウレンソウ)を水田跡地に10月24日に播種し、基本的な生育パターンを観察した。ナタネが最も早く開花を開始し(3月26日)、レンゲとホウレンソウが続いた(4月9日)。コムギの50%出穂は4月12日であった。4月27日の調査では、乾物生産量は、コムギ、ナタネ、イタリアンライグラス、ホウレンソウ、レンゲの順に多かった。予備試験2では、麦類4種(コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ)を休閑畑地跡に11月6日に播種し、群落形成と乾物生産の経時変化を調査した。冬季から3月上旬までの乾物量はライムギで最も大きくオオムギで最も小さかった。分げつ数、草丈、遮光率は初期生育から冬期間もライムギで常に高く、登熟まで常に乾物生産量が最大であった。出穂はオオムギ(4月17日)、ライムギ(4月20日)、コムギ(4月23日)、ライコムギ(5月2日)の順であった。オオムギでは冬季から3月上旬までの乾物生産は最小であったが、出穂前から登熟までの乾物の増加が大きく、穂への分配率が最大であった。予備試験3では、マカロニコムギ3品種と普通コムギ53品種を各試験場より集め、本大学農場での出穂日を調査し、4月13日から5月24日までの幅広い変異を記録した。 現在、コムギに着目して、乾物生産の特性を日射利用の面から解明する試験が進行中である。
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