2001 Fiscal Year Annual Research Report
養液栽培培養液除菌技術としての緩速砂ろ過法の除菌率測定法の検討と変動要因の把握
Project/Area Number |
13760019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峯 洋子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70282704)
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Keywords | 緩速砂ろ過 / 養液栽培 / 培養液除菌 |
Research Abstract |
閉鎖型養液栽培の培養液除菌技術のひとつである緩速砂ろ過法のシステムや操作法の改良のために,除菌率測定方法の確立と除菌特性解明を試みた.小型のモデルシステムをビニルハウス内に3台製作し,大腸菌をモデル菌として菌の排出パターンを調べた. その結果,流入させる菌濃度を一定に維持すると,ある保持時間を経過した後,ろ過水の菌濃度が上昇して定常状態に到達することが判明した.ろ過水菌濃度の定常値は流入菌濃度が高いほど高くなった.菌の流入時間が延びてもろ過水菌濃度の定常値に変化はなく,定常状態の持続時間のみ延長された.新規Filterを用いた場合,濃度による除菌率の値は,流入菌濃度によって左右されることが判明し,流入菌濃度が高いほうが除菌率は高くなった. Filterにロックウールバラ栽培の培養液排液あるいは水を5週間循環させ,Filterの熟成現象,すなわち除菌性能向上現象に関する特性を調査した.その結果,水を循環させたFilterでは全く性能が上昇しなかったが,培養液排液を循環させたFilterは除菌性能が上昇した.一度熟成したFilterに水を循環させると,10週間後には元の除菌性能以下となった. 熟成したFilterを用いて菌の排出パターンを調べると,ろ過水菌濃度上昇までに要する保持時間は熟成による変化なく,また定常値は新規Filterのときよりも低下していた.菌流入処理開始から20時間前後には,ろ過水菌濃度が定常状態からさらに低下していった. これらの結果から,正確な除菌率を効率的に測定するには,ろ過水の菌濃度を定常状態に到達させること,供試菌の流入濃度は試験間で同じ条件とすること,そしてFilterの熟成が最大限に到達していることを確実にする必要があるといえる.
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