2001 Fiscal Year Annual Research Report
ファレノプシスの低温による花成誘導メカニズムの生理・生化学的解明に関する研究
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13760030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
窪田 聡 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (60328705)
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Keywords | ファレノプシス / 頂芽優勢 / 植物ホルモン / 花成誘導 / 葉腋芽 |
Research Abstract |
実験1.頂芽を切除したファレノプシスに0,0.01,0.1,1mmolのNAAとGAをそれぞれ0.1mlずつ毎週施用し、高温と低温条件における葉腋芽の発育とその発育方向を調査した。 葉腋芽の発生率はNAA濃度が高くなるほど低下し、1mM区では両温度ともに葉腋芽は全く発生しなかった。発生所要日数はNAA濃度の上昇に伴い大幅に増加した。したがって、ファレノプシスもオーキシンが葉腋芽の発育を抑制する効果を持つことが確認された。0mM区の葉腋芽の発生所要日数は、低温区では高温区よりも30日以上短かった。すなわち、ファレノプシスの葉腋芽の発育は頂芽優勢によってのみ支配されているのではなく、頂芽優勢が解除された後の温度条件によって制御されている可能性が示された。 GA_3施用区の葉腋芽の発生率は90%を超え、ほとんどが生殖芽に移行した。発生所要日数は低温区では高温区に比べ短く、両温度区ともにGA_3濃度の上昇に伴い短くなった。したがって、頂芽切除により葉腋芽の発育活性が付与された後、ジベレリンはすでに分化していた葉腋芽の節間伸長を促進すると考えられる。高温・GA_3施用区の花茎節数はGA_3濃度の上昇に伴い9〜10節にまで増加した。これはGA_3を施用しても高温条件では葉腋芽が発育した後しばらく栄養生長を続けていたことを示しており、小花の分化に対してジベレリンは直接関与していないと考えられた。 実験2.頂芽切除植物を高温と低温でそれぞれ0,7,14,21,28,35日間栽培し、その後高温の株を低温(高温区)へ、低温の株を高温(低温区)へ移入した。葉腋芽の発育は温度処理終了後に始まった。高温区では処理期間の違いにかかわらず生殖芽となり、栄養芽になるものは全く無かった。低温区では生殖芽となった株は高温区よりも少なく、栄養芽または発育途中で座止した株が明らかに増加した。すなわち、葉腋芽の発育方向は主に発育開始後の温度条件によって大きく左右されるものの、発育開始前の温度が低温の場合は、その影響が一部残り、発育後の温度が高温であっても生殖芽に移行することが明らかとなった。
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