2001 Fiscal Year Annual Research Report
バラ園芸品種の橙色花色素(ペラルゴニジン配糖体)の起源
Project/Area Number |
13760032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
御巫 由紀 千葉県立中央博物館, 資料管理研究科, 研究員 (10250151)
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Keywords | バラ / ポリアンサ系 / 花色 / アントシアニン / ペラルゴニジン配糖体 |
Research Abstract |
ペラルゴニジン配糖体は、現代のバラ園芸品種のうち特に橙色系の花色をもつ品種の主要色素となっている。しかしその起源は1930年頃に作出された品種に生じた突然変異ではないかと推定されているだけで、これまで、具体的に明らかにされることはなかった。 本研究では今年度、対象品種をポリアンサ系の園芸品種にしぼり、花色の測定(Lab値による)と共に、高速液体クロマトグラフィと2次元薄層クロマトグラフィ(溶媒はBAW4:1:5,AHW15:3:82)で31品種を分析し、ペラルゴニジン配糖体の有無を調査した。その結果、ペラルゴニジン配糖体が検出されたもっとも古い品種は1917年deRuiter作出の'Miss Edith Cavell'であった。これは'Orleans Rose'という品種の枝変わりで生まれたもので、同様に'Orleans Rose'の血を引く、'Nathalie Nypels(1919)'、'Coral Cluster(1920)'、'Rufus(1925)'でもペラルゴニジン配糖体が、検出された。残念ながら現在、国内では'Orleans Rose'が入手できないため、フランスから2月に穂木を取り寄せた。今年の春にはこれを咲かせ、分析に用いたいと考えている。ペラルゴニジン配糖体が最初に現れた品種としてRowley 1966らが記していた'Paul Crampel(1930)'でも大量のペラルゴニジン配糖体が検出されたが、これより10年以上前に作出されたいくつかの品種でもペラルゴニジン配糖体が確認されたことの意義は大きい。
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