2002 Fiscal Year Annual Research Report
バラ園芸品種の橙色色素(ペラルゴニジン配糖体)の起源
Project/Area Number |
13760032
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
御巫 由紀 千葉県中央博物館, その他部局等, 研究員 (10250151)
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Keywords | バラ / ポリアンサ系 / 花色 / アントシアニン / ペラルゴニジン配糖体 |
Research Abstract |
ポリアンサ系の36品種およびその親になったといわれる野生種と関連品種5種(品種)を対象として、Hunter-Lab値による花色の色差測定を行うと共に、高速液体クロマトグラフィと2次元薄層クロマトグラフィ(溶媒はBAW4:1:5およびAHW15:3:82)による分析を行い、ペラルゴニジン配糖体の有無と全アントシアニン中に占める含有率を調査した。 従来ペラルゴニジン配糖体が最初に認められた品種として報告されていた'Gloria Mundi (1929)'では全アントシアニン中の21.6%、'Paul Crampel (1930)'では92.1%がペラルゴニジン3,5-diglucosideであった。しかしこれよりはるかに古い品種の'Orleans Rose (1909)'で、わずか2.2%ながらペラルゴニジン3,5-diglucosideが検出され、またこの品種から枝変わりで生じた品種群の'Miss Edith Cavell (1917)'が8.8%、'Malechal Foch (1918)'が2.7%、'Coral Cluster (1920)'が63.6%、'Fireglow (1929)'に至っては84.3%ものペラルゴニジン3,5-diglucosideを含有していることが明らかになった。 一方、ポリアンサ系統品種の親になったといわれる野生種と関連品種では、いずれもペラルゴニジン配糖体は検出されなかった。'Gloria Mundi'および'Paul Crampel'も'Orleans Rose'の枝変わりであり、バラ属のペラルゴニジン配糖体の起源は、おそらくこの'Orleans Rose'を中心とする品種群であろうと考えられる。これまでの通説よりも少なくとも20年前からすでに、ペラルゴニジン配糖体を有するバラが存在していたと確認されたことの意義は大きい。
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Research Products
(1 results)