2002 Fiscal Year Annual Research Report
マメハモグリバエに対するピーマンの抵抗性機構の解明
Project/Area Number |
13760038
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
手林 慎一 高知大学, 農学部, 助教授 (70325405)
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Keywords | マメハモグリバエ / ピーマン / 7-O-(1,2-apioslyglucosyl)Luteorin / 摂食阻害 / 農薬 |
Research Abstract |
ピーマン(Capsicum annuum)が持つマメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)に対する抵抗性因子とその発現様式の解明を試みた。ピーマンのマメハモグリバエに対する抵抗性は上位葉には強く、中位葉には若干存在したが、下位葉には全く存在しなかった。この抵抗性のピーマン葉のメタノール抽出物は強い産卵行動抑制活性を示すことから、抵抗性因子は化学物質であることが判明した。そこで、この抽出物の精製を行い活性物質の単離を試みた。まず、メタノール抽出物を定法により各種有機溶媒と水の間で液-液分配分画を行い各画分を生物試験に供したところ、水層には強い阻害活性がヘキサン層には弱い阻害活性が存在した。生物試験を行いながら水層をさらに逆相系クロマト・高速液体クロマト等で精製を行った結果、単独で産卵抑制活性を示す化合物Aの単離に成功した。各種機器分析に供しその構造解析を試みたところ、化合物Aを分枝鎖糖を構成成分にもつ特殊なフラボノイド配糖体である7-O-(1,2-apioslyglucosyl)Luteorinと同定した。この物質はマメハモグリバエに抵抗性を示さない子葉には61ppmしか含まれないのに対して、抵抗性を示す上位葉には8,500ppmも含まれており、本化合物が上位葉と下位葉の抵抗性の違いを引き起こしているものと考えられた。またこの物質は可食部であるピーマン果実にも400ppm含まれており、我々が日常食べていることから人体への毒性は極めて低いと考えられ、本化合物を天然由来の環境に優しい農薬として用いることが可能であると考えられる。今後は具体的な実用化へのプロセスを検討してゆく必要がある。
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