2002 Fiscal Year Annual Research Report
カイコとカイコの腸に定着する細菌との相互作用とそれに係わる分子機構の解明
Project/Area Number |
13760042
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
長岡 純治 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (00303933)
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Keywords | 昆虫定住細菌 / カイコ / 相互作用 / 腸内細菌 / 生体防御反応 |
Research Abstract |
1.腸に定着する細菌の定着部位 pUC系のプラスミドベクターのlacプロモーター制御下にβ-galactosicaseのα-peptideとオワンクラゲの発光タンパク質(GFP)のキメラタンパク質を形成するようにクローニングし,これを,大腸菌の形質転換法に従い,Ent. cloacaeのカルシウム処理細胞を作成して,プラスミドの導入を行った.導入した細菌は,定常的に紫外線照射により発光を有するようになり,さらに,前年度に明らかにした方法で経口投与することにより,腸内に定住していることが確認できたが,同時に腸内に定住した形質転換Ent. cloacaeは導入したプラスミドを排除することも観察された.形質転換細菌の腸内定住部位をカイコ腸に外部より紫外線を照射することにより調査したところ,中腸前部と後部の一部分に特異的に発光が検出できた.この結果より,腸内に定住している細菌は腸内に均一に定住していなく,カイコ腸とEnt. cloacaeの間に定住に係わるなんらかの特異的親和性が存在するものと予想された. 2.腸内定住菌がカイコに及ぼす影響の検討 昨年度明らかにした条件により人為的に無菌カイコ腸内にEnt. cloacaeを定着させた場合,無菌飼育カイコと比較して,経口投与後144時間(吐糸当日)以降,中腸におけるセクロピンB,リゾチウム遺伝子の発現が誘導されていることを見出した.さらに,脂肪体におけるセクロピンB,リゾチウム遺伝子の発現,体液中のリゾチウムタンパク質量,血球の酸性フォスファターゼの活性上昇をも見出した.これらの結果より,細菌の腸内定着により,中腸の抗菌タンパク質合成が誘導されるのみならず,その影響が脂肪体,血球にまで及んでいることを明らかにした.
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