2001 Fiscal Year Annual Research Report
カドミウム汚染土のファイトレメディエーションのための合理的な土壌管理技術の確立
Project/Area Number |
13760051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢内 純太 京都大学, 農学研究科, 助手 (00273491)
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Keywords | カドミウム / ファイトレメディエーション / 土壌 / 根圏 / 根箱 / 空間変異 / 形態別定量 |
Research Abstract |
カドミウム(Cd)による農用地の汚染は、日本および海外で深刻な問題であるが、Cd汚染土壌は低濃度でも広範囲にわたって存在するため、低コストでかつ土壌の生産性を損なわない土壌修復法の確立が求められている。そのような土壌修復法の一つとして、植物を用いて汚染土壌の浄化を行うファイトレメディエーションという手法が現在注目されている。この手法により効率的な浄化を行うためには、植物が土壌中からCdを吸収する範囲を把握することが必要となるため、本研究では、数種の汚染土壌を用いて、根圏土壌におけるCdの分布と形態を調べ、それらを規定する要因を評価した。すなわち、3種類のCd人工汚染土(沖積土5、20ppm、黒ボク土20ppm)を根が密集する植栽部からの距離に応じて土壌を採取できるポット(根箱)に詰めて、アブラナ科植物の葉からし菜を25日間栽培した。栽培終了後、植物のCd吸収量に加え、土壌の形態別Cd量(水溶性、交換態、無機結合態、有機結合態)を連続抽出により測定した。また、これらのCdの分布と形態を規定する要因として土壌pHなどを測定した。その結果、根箱あたりの植物のCd吸収量は、沖積20ppm区168μg>沖積5ppm区30μg>黒ボク20ppm区12μ9となった。また、根圏土壌においてもCdの分布と形態は異なり、沖積区では無機および有機結合態Cdが減少したのに対し、黒ボク区では主に有機結合態Cdが減少した。それらの減少範囲は、沖積区の方が広く(沖積:約10mm以内>黒ボク:約2mm内)、その減少量も同じ汚染レベルでは、沖積区の方が多くなった。これに対し、交換態Cdはすべての区で増加し、水溶性Cdは沖積20ppm区では増加、沖積5ppm区では変化無し、黒ボク20ppm区では減少と多様であった。そして、これらを規定する要因は、根圏pHの変化や植物による有機酸の放出などが考えられた。
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