2001 Fiscal Year Annual Research Report
種子貯蔵タンパク質液胞輸送機構の迅速解析システムの構築
Project/Area Number |
13760066
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 伸之 京都大学, 農学研究科, 助手 (90303908)
|
Keywords | ダイズ / タンパク質貯蔵液胞 / 種子貯蔵タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、種子細胞特異的に制御されている種子貯蔵タンパク質の液胞輸送シグナル及びその機構を迅速かつ簡便に解析するシステムの構築を目的とする。 本年度は、まずボンバードメント法により、緑色蛍光タンパク質(GFP)をレポータータンパク質として用い、遺伝子が導入された細胞の特定法を検討した。まず、N末端にダイズβ-コングリシニンのシグナルペプチド、そしてC末端に小胞体局在化シグナルあるいはレクチンの液胞輸送シグナルを融合させたGFPの遺伝子を、ダイズβ-コングリシニンのプロモーター下流に挿入したプラスミドを構築した。そして、それらの遺伝子をボンバードメント法により、登熟期ダイズ種子に導入した。導入後、暗所において、25℃、24-48時間インキュベートしたのち、両刃剃刀を用いて切片を調製した。広範囲で遺伝子が導入された細胞を特定するために、共焦点レーザー顕微鏡観察を行う前に、落射型蛍光顕微鏡により遺伝子導入された細胞をスクリーニングした。20-50個の細胞に1つくらいの割合で、遺伝子が導入された細胞を特定できた。さらに、GFPが観察された細胞について共焦点レーザー顕微鏡観察を行った結果、C末端に小胞体局在化シグナルあるいはレクチンの液胞輸送シグナルを融合させたGFPはそれぞれER及び液胞への局在が観察された。また、コントロールとして行ったC末端に両シグナル共に融合させていないGFPは、細胞間壁まで運ばれていた。これらの結果は本方法により、種子貯蔵タンパク質の液胞輸送シグナルを登熟期種子細胞を用いて解析することが可能であることを示している。そこで、本方法によりダイズβ-コングリシニンα'サブユニットのC末端24残基をGFPに融合させた遺伝子を登熟期ダイズ種子に導入し、その細胞内局在性を解析したところ、液胞への局在が観察された。このことから、α'サブユニットのC末端領域が液胞輸送に重要な働きをしていることが明らかとなった。 来年度は、各種貯蔵タンパク質欠失ダイズを用いた間接蛍光抗体法を確立し、種子貯蔵タンパク質液胞輸送機構の迅速解析システムを完成させる予定である。
|