2001 Fiscal Year Annual Research Report
鉄の輸送に関与するsuf遺伝子領域およびSufタンパク質の機能解析
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13760069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三原 久明 京都大学, 化学研究所, 助手 (30324693)
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Keywords | システインデスルフラーゼ / セレノシステイン / ピリドキサール5'-リン酸 / システイン |
Research Abstract |
大腸菌由来SufS(CsdB)は、ピリドキサール5'-リン酸を補酵素としてシステインの脱硫黄およびセレノシステインの脱セレン反応を触媒する酵素であり、鉄の取り込みや硫黄の代謝において重要な役割を果たすものと考えられている。本酵素はシステインよりもセレノシステインの方を良い基質とする。一方、SufS(CsdB)のパラログであるIscSは、SufS(CsdB)よりも高いシステインデスルフラーゼ活性を示し、鉄-硫黄クラスター、チアミン、チオヌクレオチドの生合成において硫黄供与体として機能する。本酵素のアミノ酸残基362番-375番は、小ドメインから大ドメインの方に向かって伸長した突出構造を形成する。この突出構造上には、活性残基であるシステイン残基364番が存在する。そこで、基質結合状態を決定し、本酵素が硫黄とセレンを識別する機構を明らかにするために、X線結晶構造解析により、2.8Åの分解能で、SufS(CsdB)-プロパルギルグリシン複合体の立体構造を決定した。本複合体において、プロパルギルグリシンはピリドキサール5'-リン酸とシッフ塩基を形成しており、活性部位におけるexternal aldimine中間体の特徴を初めて明らにした。SufS(CsdB)のシステイン残基364番は、L-システインに対する反応に必須であるが、L-セレノシステインに対する反応には必須ではない。複合体の構造において、システイン残基364番は、アミノ酸残基362番-375番から成る突出構造上に明瞭に観察できた。これに対し、Thermotoga maritimaのシステインデスルフラーゼにおいては、対応する突出構造が乱れているため構造が決定されていない。後者は、L-システインに対して良く作用する酵素グループに属する。従ってSufS(CsdB)の突出構造のフレキシビリティーが制限されていることにより、本酵素はセレンと硫黄を識別することができるのではないかと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hisaaki Mihara et al.: "Structure of External Aldimine of Escherichia coli CsdB, an IscS/NifS Homolog : Implications for Its Specificity Toward Selenocysteine"Journal of Biochemistry. (印刷中). (2002)
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[Publications] Shin-ichiro Kato et al.: "Cys328 of IscS and Cys63 of IscU Are the Sites of Disulfide Bridge Formation in a Covalently-bound IscS/IscU Complex"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. (印刷中). (2002)