2001 Fiscal Year Annual Research Report
細菌由来のD-立体特異的アミノ酸アミド加水分解酵素に関する研究
Project/Area Number |
13760076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
米田 英伸 富山県立大学, 工学部, 助手 (50285160)
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Keywords | D-amino acid / amide / amidase / Ochrobactrum anthropi |
Research Abstract |
本申請者は医薬、農薬、食品等の合成原料としての利用が期待されているD-アミノ酸及びその誘導体の酵素的合成法の開発を目的として、自然界よりD-立体特異的アミノ酸アミド加水分解酵素生産菌の探索を行ってきた。その中から得られた土壌細菌、Ochrobactrum anthropi SV3株由来のD-アミノ酸アミダーゼはフェニルアラニンやチロシンといったかさ高い側鎖を持つアミノ酸のアミドにD-立体特異的に作用する新規なアミダーゼである。本研究では本酵素をコードする遺伝子を単離し、一次構造を解析すると同時に、大腸菌を宿主して本酵素の大量発現を試みた。 O.anthropi SV3株よりゲノムDNAを調製し、制限酵素BamHIによる部分分解産物をプラスミドベクターに挿入し、ゲノムDNAライブラリーを作製した。これより、D-フェニルアラニンアミドを基質としてD-アミノ酸オキシダーゼと共存させたアッセイ系により、D-アミノ酸アミダーゼ活性を示す大腸菌形質転換体を得た。本菌から抽出したプラスミドには7.3-kbのDNAが挿入されており、塩基配列を決定した結果、6個のオープンリーディングフレーム(ORF)がコードされていた。予想されるアミノ酸配列をデータベースより検索した結果、最初の5個のORFはジペプチド輸送たんぱく質と高い相同性を示した。その下流に存在する6番目のORFは我々が既に発見しているD-立体特異的ペプチダーゼであるD-アミノペプチダーゼやアルカリD-ペプチダーゼ、そして、それらと相同性を有するDD-カルボキシペプチダーゼ、β-ラクタマーゼと30%前後の相同性を有していた。6番目のORF領域をPCRで増幅した後、プラスミドベクターに挿入後、大腸菌を形質転換したところ、D-アミノ酸アミダーゼ活性を示したことから、本ORFが本酵素をコードする遺伝子であることが判明したので、本遺伝子をdaaAとした。本大腸菌形質転換体よりD-アミノ酸アミダーゼを各種カラムクロマトグラフィーにより単一に精製し、酵素化学的諸性質を測定したところ、O.anthropi SV3株より精製した酵素の性質とほぼ一致した。
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