2002 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーオキサイド産生抑制物質spectamine類の合成と生物有機化学研究
Project/Area Number |
13760085
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
真壁 秀文 信州大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90313840)
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Keywords | 活性酸素 / 全合成 |
Research Abstract |
(目的)スーパーオキサイド(O^<2->)は,活性酸素の一種でマクロファージなどの細胞によって生産され,殺菌作用や情報伝達を担う生体防御に必要不可欠な物質である。しかし,種々の刺激により過剰に生産されると炎症,老化,癌化の原因につながると考えられている。このような観点から,信州大学農学部生理活性化学研究室ではO^<2->の産制を抑制する化合物の検索が行われてきた。1998年にアフリカ産の豆科植物Sennna spectabilisからO^<2->の産制を抑制する化合物sspectamineが単離され,2002年に絶対構造が明らかになった。本研究では活性酸素産制抑制メカニズムの解明を指向としたspectamine類の全合成を目的とした。 (方法と結果)Spectamineは2,3,6位に置換基があるピペリジンアルカロイドで,2,3位はcis、2,6位はtrans配置である。申請者は市販の1,5-hexadiyneを出発物質として,2価のパラジウムを触媒としたアミノアリルアルコールの環化反応を鍵反応とした全合成を行った。1,5-hexadiyneより他段階で光学活性な2級のアミノアリルアルコールを合成した。この化合物に対し種々の2価のパラジウムを触媒とした環化反応を行ったところPdCL_2を用いた場合,2,3,6位が完全にcis選択的に反応が進行した。これは初めての例であり様々な生理活性を有するピペリジンアルカロイド(-)-Cassineの合成に応用しきわめて効率的な全合成を達成した。また,光学活性な2級のアミノアリルアルコールの1級水酸基に立体障害のある保護基で置換し同様な反応を行ったところ2,3位はcis、2,6位はtrans配置のピペリジン部分をえることができた。現在,spectamineの全合成を行っている。以上より2,6位に置換基のあるピペリジンアルカロイドの立体選択的な合成経路を確立した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Makabe, Y.Hattori, A.Tanaka, T.Oritani: "Total Synthesis of cis-Solamin"Organic Letters. 4. 1083-1085 (2002)
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[Publications] H.Makabe, L.K.Kong, M.Hirota: "Total Synthesis of (-)-Cassine"Organic Letters. 5. 27-29 (2003)