2002 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物におけるペプチド性細胞増殖因子受容体の解析
Project/Area Number |
13760087
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松林 嘉克 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (00313974)
|
Keywords | ペプチド / 受容体 / 分化全能性 / ファイトスルフォカイン / 植物細胞 |
Research Abstract |
多細胞生物においては,個体の恒常性を維持するために個々の細胞間のコミュニケーションが重要な役割を担っている.申請者らが1996年に発見したPSKは,オートクリン型の細胞間情報伝達因子として,植物細胞の分化全能性の制御に関与していることが推定されている.本研究では,PSKの個体レベルでの役割を解明することを最終目的として,PSK受容体のクローニングを目指した.PSK受容体を多量に発現していることが明らかとなっているニンジン培養細胞株を用いて,受容体の可溶化条件を検討した結果,一般的な界面活性剤であるTX-100により効率よく可溶化されることが明らかとなった.次に,効率よく受容体分子を精製するためにアフィニティーカラムの調製を試みた結果,[Lys^5]PSKの側鎖アミノ基にスペーサーを介してセファロースに固定化したカラムが,受容体に対する高い親和性を示すことが明らかとなった.このカラムを用いて4.8gのニンジン膜画分から受容体を精製した結果,SDS-PAGE上で120および150kDの位置にPSK特異的な結合活性を示すタンパク質が得られた.得られたタンパク質の内部アミノ酸配列の解析結果に基づき設計したプライマーを用いて,PCR法による受容体cDNAのクローニングを行なった結果,これらのタンパク質はロイシンリッチリピート型受容体キナーゼの一種であることが明らかとなった.このタンパク質を過剰発現させた細胞では,PSK結合活性の顕著な増加とPSKに対する応答性の向上が確認されたことから,真のPSK受容体であると結論づけられた.
|
Research Products
(1 results)