2001 Fiscal Year Annual Research Report
食餌性植物スフィンゴ脂質の動態および生理作用に関する研究
Project/Area Number |
13760091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
木下 幹朗 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (30321962)
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Keywords | cerebroside / sphingoid base / apoptosis / caco-2 / caspase / ceramide |
Research Abstract |
植物スフィンゴ脂質は興味深い生理活性を有しており、たとえば皮膚における保湿性向上や美肌効果、また大腸ガン発症抑制の可能性が推測されることから機能性脂質として注目されている。 動物起源のスフィンゴ脂質(スフィンゴイド塩基やセラミド)は各種細胞でのアポトーシスを誘導することが報告されている^<2)>。今回、我々は植物セレブロシドからスフィンゴイド塩基およびセラミドを調製し、植物スフィンゴ脂質の構造とアポトーシス誘導活性との関連をヒト結腸ガン細胞株を用いて明らかにしようとした。 トウモロコシ由来スフィンゴイド塩基(主にスフィンガジエニン、d18:2^<4,8>と4-ヒドロキシスフィンゲニン、t18:1^8)をCaco-2細胞に添加し24時間後にTunnelおよびDAPIの2重染色をして蛍光顕微鏡に供すると、Tunnel染色陽性で核の凝集を示すアポトーシス細胞が認められた。10μMの添加量で比較すると、トウモロコシ由来のスフィンゴイド塩基は既報の4-スフィンゲニン(スフィンゴシン、d18:1^<4t>)及び4-ヒドロキシスフィンガニン(フィトスフィンゴシン、t18:0)と同程度のアポトーシス誘導活性を示した。また、この活性は時間および容量に依存的であったが、スフィンゴイド塩基を50μM投与すると他の細胞傷害性によって逆に減少した(図2)。セラミドの形態について調べると、植物スフィンゴイド塩基から調製したC2-セラミドではアポトーシス誘導(20μMで10%)が認められた。その活性は、添加したC2-セラミド容量に依存したが、Smith分解によりセレブロシドから調製した長鎖ヒドロキシ脂肪酸を有する分子種群(ジヒドロキシ塩基含有型)では認められなかった。一般にアポトーシスの誘導にはシステインプロテアーゼであるカスパーゼ群の活性化が関与することが知られている。そこでカスパーゼ阻害剤を用いて調べたところ、スフィンゴイド塩基およびC2-セラミドによるアポトーシスが有意に減少した。来年度は、植物スフィンゴ脂質のアポトーシス誘導機構および、消化管での分解機構を検討する予定である。
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