2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腸管上皮細胞におけるタウリン輸送担体のサイトカインによる制御機構の解析
Project/Area Number |
13760099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
薩 秀夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80323484)
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Keywords | タウリン / トランスポーター / tumaor necrosis factor α(TNF-α) / Caco-2 / 腸管上皮細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
タウリンは、様々な生理機能を持つことが知られるβ-アミノ酸である。食品として摂取されたタウリンは、小腸上皮細胞に存在するタウリン輸送担体によって吸収されるが、この小腸上皮タウリン輸送担体は様々な要因によって制御・調節されることが考えられる。本研究では特に、サイトカイン類によるタウリン輸送担体の制御について注目し、解析を進めた。 ヒト小腸上皮細胞のモデル系としてCaco-2、T84などの株化細胞を選び、タウリン輸送担体の活性を測定したところ、Caco-2細胞のみが十分なタウリン輸送活性を示し、以降本研究ではCaco-2細胞を用いることとした。次にTNF-αなどのサイトカインをCaco-2細胞に作用させた後、タウリン輸送活性を測定したところ、TNF-α及びIL-1β処理によって有意なタウリン輸送活性の亢進がみられた。そこで、TNF-αに絞って検討を進めたところ、処理したTNF-αの濃度及び処理時間に依存してタウリン輸送活性は増加し、50ng/mlで24時間処理した場合、輸送活性は約2倍となった。またCaco-2細胞を透過性膜上に培養し、TNF-αをCaco-2細胞の管腔側あるいは基底膜側から作用させたところ、管腔側・基底膜側いずれの場合も同程度にタウリン輸送活性の増加がみられ、この制御には上皮細胞の極性は関与しないことが示唆された。 また、TNF-αで処理したCaco-2でのタウリン輸送活性のKineticsを求めたところ、コントロールに対しVm値の増加及びKm値の減少がみられ、これよりタウリン輸送担体数の増加とともに親和性の増加もこの制御に関与していることが示唆された。またTNF-α処理したCaco-2では、タウリン輸送担体のmRNA発現量が増加している事がノーザン解析の結果明らかとなり、この現象にはタウリン輸送担体のmRNA発現量の増加が関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 薩 秀夫: "アミノ酸トランスポーター"臨床栄養. 100・2. 155-160 (2002)
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[Publications] 薩 秀夫: "腸管上皮細胞におけるタウリントランスポーターの調節"日本農芸化学会誌. 75・9. 976-979 (2001)
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[Publications] 清水 誠: "腸管細胞におけるトランスポーターの活性調節-タウリントランスポーターの調節を中心に-"消化と吸収. 24・1. 58-61 (2002)