2001 Fiscal Year Annual Research Report
アカマツ―マツタケ共生系の形成・発達過程における共生者間の相互作用の解明
Project/Area Number |
13760111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 範久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00282567)
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Keywords | マツタケ / アカマツ / 外生菌根 / 共生 / シロ / 接種 / 順化 / バイオマス |
Research Abstract |
本研究では、アカマツ-マツタケ共生系の生理・生態学的特徴を宿主と共生菌間の相互作用の観点から解明し、林地へのマツタケ菌の導入技術へ応用することを目的とする。本年度は、まず、非無菌条件下でのアカマツ-マツタケ共生系の構築を試みた。無菌条件下で作出したマヅタケ菌根苗木の順化に適した土壌の滅菌方法を検討した結果、順化の際の細菌による汚染を防ぐためには、γ線滅菌した土壌を用いることが有効であると考えられた。マツタケを無菌的に培養したポットの中へアカマツの実生苗を移植した後、非無菌条件下で培養を行い、非無菌条件下での菌根合成を試みた。その結果、接種2ケ月後に、マツタケ菌糸の根への侵入とハルティッヒネットの形成初期段階と考えられる菌糸の分化が観察された。また、外生菌根の形態的特徴である根毛の減少も認められた。したがって、本方法により、無菌条件下でのアカマツ-マツタケ共生系の構築が可能であると考えられた。滋賀県朽木村のアカマツ天然林において、菌糸体を接種するための事前の集根処理を行った結果、処理を行った根の25%において、新たな発根が誘導された。これらの根には外生菌根は形成されておらず、来年度に行う予定のマツタケ菌の接種に最適な根であると推測された。一方、マツタケの子実体を形成させるために必要な菌糸体バイオマスを推定するために、長野県伊那市のマツタケのシロ土壌中のエルゴステロール量を測定した。その結果、マツタケの子実体直下から採取した土壌中のエルゴステロール量は、土壌1cm^3当たり64.4μgであった。培養菌糸体のエルゴステロール量との比較から、調査したシロの菌糸体重量は5.6〜7.3kg(乾重)と推定され、マツタケの子実体を1本発生させるために90〜120g(乾重)の菌体量が必要であると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松下範久: "マツタケのシロの動態とバイオマス"日本林学会大会学術講演集. 112. 457 (2001)
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[Publications] Guerin-Languette, A. et al.: "Matsutake shiro cultivation and mycorrhizal relationships with Pinus densiflora"日本林学会大会学術講演集. 112. 461 (2001)
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[Publications] Vaario, L.M. et al.: "Detection of the ability of Tricholoma matsutake to utilize sawdust in aseptic culture"日本林学会大会学術講演集. 112. 463 (2001)
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[Publications] 寺村 智: "マツタケ菌根順化のための培養条件"日本林学会大会学術講演集. 112. 464 (2001)
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[Publications] Guerin-Languette, A. et al.: "Identification of a prevalent Tricholoma matsutake ribotype in Japan by rDNA IGS1 spacer characterization"Mycological Research. 106(in press). (2002)
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[Publications] Vaario, L.M. et al.: "Investigation of Tricholoma matsutake saprotrophic potential: Growth over pine bark treated with surfactants"Mycorrhiza. 12(in press). (2002)